対名古屋戦(05−21A)。

所用でフットボールとはあまり関係のない週末を過ごしていたために,遅れまくりです。


 でありますれば,あまり詳細にゲーム内容を書いても・・・,ということもありますので,日頃あまりやらないゲーム・プレビューをかねて,思うところを徒然に書いていくことにします。


 もうひとつのフットボール・スタイルが形を見せてきた。そんな印象を持ちます。


 これまでの浦和はどちらかと言えば,「手数をかけずにスピーディにボールをペナルティ・エリアに持ち込む」という点において基本線が変わらなかったように思います。高い位置からの厳しいプレッシングから攻撃を仕掛けるハーフコート・カウンターなのか,あるいは守備ブロック付近で相手の攻撃を受け止めつつロングレンジ・パスを前線に送り込む,フルコート・カウンターなのかという違いはあるとしても,「スピード」を存分に生かした攻撃がある種のスタンダードだったように思うわけです。


 しかしながら,であります。


 ロブソン・ポンテトミスラフ・マリッチの加入によって,“ビルドアップ”というオプションが加わりつつあるように思えるのです。FWがスピードという要素だけで捉えられるのではなく,トップ下,あるいはレジスタを前線に送り出すための仕掛けとして機能しはじめたのではないかな,と。
 前任指揮官が意図した(しかし,あまりにも“ストリクト・マンマーク”を強調するスタイルのために埋没しがちではあったのですが。)“ポゼッション”が,現指揮官の攻撃イメージと新戦力という要素によって,「新しい攻撃オプション」という形になってきつつあるようです。


 スピードを存分に生かした攻撃を仕掛けるか,あるいはビルドアップからの攻撃を選択するのか.90分プラス,という時間的制約の中で柔軟に仕掛けられるようになると,カップ戦のように「後のないゲーム」においても主導権を掌握しやすくなるのでは,という感触を持つのです。
 プレイヤーが積極的に走ることでスペースを切り開きながらボールをも走らせる,というのが水曜日に対峙する相手のやり方ではないか,と見ています。となれば,ゲーム開始直後からゲームのリズムを掌握しておかなければならないでしょう。受動的に,相手の攻撃に揺さぶられる形でディフェンスに入るのではなく,積極的に仕掛ける意図を持ちながらボールホルダーに対してディフェンスをかけていく,と。ただ,相手の出方によってはそのまま縦に鋭く突破を図るのではなく,リズムを切り替えながら相手守備ブロックを揺さぶっていく。縦への突破と,ビルドアップからの遅攻,この両面を柔軟に使い分けることで,カップ戦では必須である「先手」を打てるのでは。そう考えています。


 ・・・短めにしようと思っていたわりに,長くなるわけですが。


 基本的にはすべてのゲームが同じ重要性を持っているからこそ,眼前のゲームに集中し,「勝ち点3」を奪取すべく100%のファイトを仕掛ける。その繰り返しによってのみ,カップを奪取することができるわけです。しかし時に,等分以上の重要性を持ったゲームが生まれます。そのゲームを制することで,さらにカップへの距離は縮まっていく,と。
 今節,リーグ戦が持つ当たり前のことを再確認できたように思います.そして,「鬼門」と呼ばれる場所における対戦成績をニュートラルに戻しはじめることができた。加えて,リーグ・テーブルにおいて前節の「勝ち点1」が意味を持つ位置にまで戻ってきたことが最大の収穫ではないか,と思います。この流れをカップ戦にも引き込んでいきたいものです。