対神戸戦(05−20)。

ストロング・ポイントを引き出すフットボールが展開できずに,90分プラスが経過してしまった。


 そんな印象を受ける。


 相手の出足の鋭さが予想外だったのか。あるいは,チームのリズムを作る若きレジスタの姿がピッチ上にないことが,チームにボディブローのように影響を与えたのか。
 ゲーム開始直後から,ある種の戸惑いがチームにはあったように思う。


 それでも,序盤はゲームをある程度コントロールしながら攻撃を組み立てていたように思う。しかし,相手守備ブロックが非常に堅く,その守備ブロックを縦方向,あるいは横方向に大きく揺さぶるような攻撃意図が見えなかったために,非常に中途半端な位置で攻撃を断ち切られる場面が目立ったように思う。そのような状況から先制点を奪取され,ゲーム全体のリズムが悪化していく。
 最終ラインと中盤,中盤と前線にあるべき適切な距離感が失われ,全体が大きく引き延ばされてしまったかのように感じる。最終ラインが,恐らくは相手のカウンター・アタックへの対策だろう,引き気味に位置していたこと,加えて相手に対する厳しいプレッシングが今節においては非常に中途半端な状態であったために,ボール・ホルダーを自陣深い位置までかなり自由にさせてしまっていたように思う。


 失われつつあったチームとしてのリズムを取り戻すきっかけとなったのは,ハーフタイム終了後の戦術交代,山田と岡野の投入だったと思う。


 サイドを大きく使った展開と,縦方向に大きくポジション・チェンジを掛ける攻撃を失いつつあったチームに,本来持っているリズムを与えたように思う。そんな中から同点に追い付き,完全にゲームの支配権を取り戻したと思った直後。FKをゴールマウスにねじ込まれることで,再びゲームを主体的に展開することが難しくなってしまう。


 いつものように,1日遅れで書いております。


 結果的には,ゲーム終了直前の時間帯に,岡野選手とポンテ選手のコンビネーションからドローに持ち込んだわけですけれど,何とも評価に困るゲームではあるように思うのです。


 ただ,以前も書いたと思うのですが。


 相手の高いモチベーションに対して「受けて立つ」ことになってしまうと,ゲームの主導権をいつの間にか相手に渡してしまうことになり,相手のペースに引きずられることになってしまうように思います。悪癖,と言っていいかも知れません。
 主導権を相手に握られてしまうことで,ファースト・ディフェンスに入るタイミングが微妙にずれてくる。あるいは,最終ラインがアクティブにコントロールできず,自然に低い位置になってしまう。相手が起こしてくるアクションに対して,「受身」であり続けてしまうことでチーム全体のバランスが微妙に崩れてくる。


 浦和が心理的に悪い状況に見せるゲームではなかったか,と思うのです。


 それでも,「勝ち点3」を奪われることなく,「勝ち点1」を確保はした。今節,このこと以外に収穫と言えることはないようにも思いますが,リーグ戦終盤になってこの「勝ち点1」が大きく意味を持つと思います。また,意味を持たせるためにも,次節は間違いなく「落とせないゲーム」になった。そう思っています。