ポスト・シアラー!?

最初見たときには,「!?」という感じではありました。


 確かに,今季のレアル・マドリーでは出場機会が圧倒的に減少するだろうし,ゲーム勘を失わないためにも,そして言うまでもなくイングランド代表の主力選手でもあり,パフォーマンスを高く維持しておくためにも「移籍」が現実的な射程に入っているだろうことは予想できました。その意味で,プレミアシップ復帰は可能性の高いことだろうとは想像できたわけです。


 そして,恐らくその移籍先は(高額な移籍金額を冷静に考えれば,バジェットのある)マンチェスター・ユナイテッド,あるいは「出戻り」ということにはなりますが,ビッグイヤーを防衛したい,という意図を持ち,プレミアシップ制覇を目標に掲げるリヴァプールではないか,と思っていたわけです。


 でありますれば,SPORT配信の記事(スポーツナビ)には驚いてしまったわけです。では,イングランドではどう報じているのか,と調べてみれば,Shearer admits Toon interest in Owen(ESPN Soccernet.com)と,見出しが打たれておりました。おおざっぱに記事を要約すれば,契約締結までにはかなり不透明な部分があるものの,ニューカッスルとしてはプレミアシップでの飛躍のためにはオーウェン獲得が最も現実的な選択であって,実際に獲得を望んでいることをイングランド代表としてともにプレーしたアラン・シアラーがBBCラジオ5で語った,ということらしいのです。


 よく考えてみれば,シアラーが言うようにニューカッスル・ユナイテッドへの移籍もあり得ないことでもないような。と言うか,当人は言わないけど来季には間違いなく生まれてしまうだろう“ミッシング・ピース”を埋めるためにはある意味「必然」かも知れないな,と。


 つまりは。


 戦力補強,も当然の理由でありますが,それ以上に昨季引退宣言を撤回し,「現役延長」を表明したイングランドを代表するストライカー,アラン・シアラーのポジションを埋める主軸として,マイケル・オーウェンに白羽の矢を立てたのではないか,ということです。中盤にはニッキー・バットやキーロン・ダイアーという高いポテンシャルを持った選手がおり,またスコット・パーカーの加入によってチームの根幹は強化されてきています。が,しかし。シアラーが現役を引退したあとを冷静に考えると,誰が前線の主軸を構成するのか,という問題が出てくることになります。「得点源」に不安を抱えたままでは,ニューカッスルが虎視眈々と狙うポジションを実際に奪い取ることは難しい。その難問を解くための,絶好のピースが出てきた,と。


 恐らく,こういうことではないかな,と思うのです。


 現在,プレミアシップではチェルシーを中心にマンチェスター・ユナイテッドアーセナルに加えてリヴァプールがいわゆる「4強」と目されています。その4強の位置に昨季のエヴァートンのように割って入り,あるいは奪取に失敗したUEFAカップなどの欧州カップ戦において躍進したいという明確なヴィジョンを持っているとすれば,オーウェンは絶好のピースでしょう。


 セント・ジョージクロスを大胆にデフォルメしたユニフォーム,あるいは深紅のユニフォームを見慣れている(白のユニフォームは個人的趣味で敢えて無視・・・。)だけに,白黒の縦縞,というのには違和感がありますが,マグパイズ・サポータにとってはポスト・シアラーの最右翼としてかなりの期待感があるのではないか,と感じています。