「国際親善試合」とは。

いろいろとインパクトのあるゲームでしたな。


 ルシェンブルゴとか,ベッカムの発言がスポーツ・メディアを賑わせているようでもあり。


 ちょっとだけ書くならば。はっきり言って,ただでさえコンディションが良くないのに,冷静さを欠いたことでさらにリズムを崩したことを告白してるだけでありましょう。とは言え,彼らも過密日程の犠牲者なのだろうけど。


 そのおかげで,「国際親善試合」の意味を考える,いい機会ができたですが。


 で,早速はじめますと。
 Jリーグの側から見れば,この「国際親善試合」なるゲームはプレ・シーズンマッチ(“PSM”)だろうと思うのです。
ファイナル・スコアには恐らく現れない,欧州主要リーグなどで活躍するクラブとの違いを実感することで,チーム戦術をどのように進化,熟成させていくのか。そんな方向性を確認したり,チーム戦術の達成度などの「評価軸」が得られる貴重な機会ではないか,と思うのです。


 ただ,来日するクラブがしっかりとした体制でゲームに臨んでくれないと,その「評価軸」は非常に精度が悪いものになってしまう,とも言えるでしょう。しっかりとしたクオリティを持ったゲームをする,そのための調整期間を置いた日程を組んでいるようには見えません。むしろ,スポンサー向けのプロモーションなどが多く,“ツアー”という意味が限りなく「顔見世興行」に近いような感じがします。
 ワタシとしても,海外でのプレゼンス拡大を狙った“プロモーション”を全面的に否定するものではないけれど,フットボールのクオリティが高くなければ十分な訴求効果は得られないのではないでしょうか。


 加えて,シーズンインを念頭に置かなければならない時期でもあります。にもかかわらず,大事なアセットであるはずの選手,彼らのコンディションを考えていないかのようなツアー日程を組んでいる,ように映ります。いくら“ツアー”でも,最低限コンディション調整のできる日程を組むべきではないでしょうか。彼らにとっても“PSM”としてゲームをこなす理由は十分にあるはずです。


 放映権料,スポンサー・マネーや入場料収入,レプリカ・キットなどに代表されるマーチャンダイジングなど「ビジネス面」では非常に得るものが大きいのでしょう。来日するクラブが最近急増する背景には,そのようなことがあるのでしょうが,その引き替えとして本来そのクラブが基盤とするはずのリーグ戦でハンディを背負うようなことがあれば,結果的に自分たちの魅力を自分たちで落とすことになりはしないか。
 「評価軸」の精度を大きく落とされてしまうJクラブにとっても不幸だけれど,日本市場でプロモーションをしようと目論むクラブにとっても不幸なことだろう,と思うのです。