キャプテンマークの14番。

DFとしてのイメージしかなかっただけに,ボランチとして起用されていることに若干の違和感を感じていた。


 しかし,ゲームが始まると,その個人的な違和感は徐々に払拭されていった。


 相手が徹底的にカウンター・アタックを意識した戦術を採用していたために,あまり中盤での攻防が激しいものにならなかったことは差し引く必要があるかも知れないが,それでも積極的に相手のプレー・スペースを消すオフ・ザ・ボールの動き,ファースト・ディフェンスに入るときのタイミングなどを考えれば,物足りない部分を感じたりもした。
 しかし,時折見せた前線への鋭いパスやサイド・チェンジのためのミドル〜ロングレンジ・パスには驚かされた。全体に押し込まれた場面はあまり多くはなかったものの,危険な場面での対人プレーには,DFとしての経験が見えていたように思う。


 札幌は「現実主義的な戦略」をとる他のJ2チームとは異なり,積極的にビルドアップすることを常に意識しながら,カウンター・アタックも「状況に応じて積極的に」繰り出す,という基本戦略を描いている,ということが斉藤さんのコラム(スポナビ)で紹介され,個人的にはすごく興味を持っていました。
 それだけに,中断期間のこのゲームは絶好のチャンスだと思いながら足を運んでみたわけです。


 今節に関しては,まず気候条件があまりに厳しく,また相手が徹底して守備的な戦略に終始していたために中盤でのビルドアップが難しかったと思うのです。それでも,ワンタッチ,ツータッチ程度で積極的にボールを回しながら相手を崩していく,という意図を明確に感じることができました。


 彼は(年齢的な部分も含めて)恐らく,柳下監督が描く戦略の中枢を担うプレイヤーとして期待されているのでしょう.その証が,キャプテンマークだったのでしょう。
 我らが指揮官が現役時代に高く評価していたこともあるように,高いポテンシャルを持ったプレイヤーではあったけれど,一時はケガで不遇を託っていたように思うのです。それが,ゲーム・キャプテンを任されるまでになった。ちょっとした感慨があります。