進化のために。
チームをどのように進化させるべきか,大きなヒントをつかんだであろうFIFAコンフェデレーションズカップ。
問題は,そのヒントをどう具体的なものとして,準備期間の代表チームに落とし込むか,ということでしょう。
そのためには,「善戦」を称えるだけではなく,2006年の本戦を冷静に見つめた話もしておくべきかな,とも思っておりまして。そこで,ひさびさに再始動したサッカークリックに寄稿されている大住さんのコラムを参考書に取り出しながら,話を進めてみることにします。
大住さんの提言を大雑把に要約するならば,
(1)ヨーロッパを拠点とするチーム強化
(2)バックアップ・メンバーのさらなる充実
(3)基本戦術の明確化,浸透を図るためのシステム構築
という感じになるか,と思います。
コンフェデレーションズカップにおける収穫は,主に3の部分に関連するのではないでしょうか。
コンフェデレーションズカップは,どういう戦術を展開すれば世界と互角に戦うことができるのか,という部分で大きなヒントを得た大会だっただろうと思うのですが,2006年に向かっては得られたヒントを具体的な戦術に昇華させ,チームのクオリティをさらにブラッシュアップしていく必要があるように思うのです。
その過程で2の部分,すなわちバックアップ・メンバーの充実が図れるはずです。
明確な戦術的目標が設定できれば,その戦術を具体化できる(可能性を持つ)選手を招集することが可能となり,ポジション別の競争を積極的に喚起することができる。現在まで,指揮官は“ファミリー”として選手との強固な関係を非常に重視する一方で,戦術的な部分ではそれほど強固な印象がない。むしろ,ピッチ上の選手のゲームに対するイメージがどれだけ同調できるか,がチームの好不調を左右する,と言って良いかも知れない。そんな現状のチームの初期バランスをもう少し戦術側に再設定することで,チーム内競争を機能させ,チームとしての厚みを持たせても良いのではないか,と思います。
「即興性に満ちた強さ」も確かに魅力的ではあるけれど,“ディシプリン”を明確に感じさせる「斧で断ち割るような強さ」も同時に感じるプレーを見たい。欲張りかも知れないけれど,これを実現できれば,代表チームは強さを明確に増すはず。本戦までの準備期間が最も重要,ということになりそうです。