WYグループリーグ(雑感)。

世代別代表で結果「だけ」を追求するのはあまり感心しない,と思っているのですが。


 今回ばかりは1ゲームでも多く真剣勝負の舞台を経験させる,という意味において何としても決勝トーナメントへと駒を進めて欲しい,と思っていました。


 それだけに,うれしさよりもほっとしてます,という感じです。


 はっきり言えば,今回のセカンド・ラウンド進出に関しては,素直に喜べない部分もありますね。実際,オランダが「規格外」の強さを発揮してくれたおかげで,セカンド・ラウンドへの道が開かれたわけですが,「勝ち点2」は正直なところを言えば想定外の事態でした。


 グループリーグ最終節,しっかりと同点に追い付いたこと自体は大きく評価したいのですが,逆に言えば,前半の段階でしっかりと主導権を握っておきたかったように思うのです。前半,得点機を演出はしたものの,攻撃が単調であるかのような印象を受けた。「縦」への意識の高さは十分に感じるものの,ボールをサイドに散らしたり,相手ディフェンスにクサビを打ち込みながら後方からの押し上げを利用して崩しにかかるなど,攻撃のリズムに変化を付けることが少なかったように思う。それゆえ,相手守備ブロックのマークを振り解くことができずに,いい形でフィニッシュに持ち込めなかったように見える。
 結果,前半をスコアレスで折り返し,後半に入ってゴーリーのキャッチング・ミスからオーストラリアに先制を許す。


 追い詰められてからポテンシャルを発揮する,というのは確かに成長を感じさせる部分なのかも知れないけれど,追い詰められる前にしっかりとゲームの主導権を掌握しておきたい。そのために,どういう戦略を立てておく必要があるのか,指揮官が考えるべきことは多いように思うのです。


 前任指揮官がフル代表と平行してユースを率いていた時期だったかと思いますが,確かに過度にシステマティックだった部分はあるけれど,チームに対して「鉈で相手を断ち割るかのような強さ」を持っていた,という表現をされていたかと思います。もっと明確なチーム戦略があれば,現有戦力であってもこれほど苦戦することはなかったのではないか。何よりも,チームのストロング・ポイントをあまり明確に感じられないことが,最も残念な部分です。


 初戦の相手であるオランダは,世代別代表でありながらA代表と通底するスタイルを感じさせていたように思います.どのような攻撃をユニットとして仕掛け,どのような守備を組織的に展開するのか,という部分で世代横断的にコンセプトが共有されているかのような印象を受けたのですが,そのような,「スタイル」をどう構築していくのか.結構重い課題をグループリーグ初戦にして突き付けられていたような感じがします。


 セカンド・ラウンドにおいては,指揮官のイメージを良い意味で裏切る「突き抜けた」部分を選手たちに期待したいな,と思うのです。オランダのイメージは間違いなく選手たちに残っているはず。できる部分からで十分だから,積極的に「規格外」のプレーを繰り出すことで成長を見せ付けてほしい。そんな気分であります。