ナビスコカップにも権威を。

まずは,清尾淳さんのコラム(Weps打ち明け話)を紹介するところから書き始めたいな,と。


 今季のヤマザキナビスコカップに対する違和感を,清尾さんははっきりと指摘してくれたように思うのです。ACLを考えれば,確かに参加クラブをシードするというのもひとつの考え方であるかも知れません。あまりにタイトなスケジュールを考えると,JFAやJリーグ・サイドの交渉能力を疑う部分もあるほどですし,ナビスコカップに予選から出場させるというのは現実的ではありません。2クラブをシードする,というのはそういう考え方に立ってのことでしょう。
 しかし(と言うか,であればこそ,と言うか),一方の考え方としては「出場辞退」というのも選択肢としてあって良いはずです。実際,FA(イングランド・サッカー協会)はマンチェスター・ユナイテッドに対して世界クラブ選手権(実際には大会自体が開催されず,問題が現実化することはなかったのですが。)に参加する場合には,FAカップへの参加を辞退するように勧告したことがあったように記憶しています。それ以前の問題として,J1クラブだけが参加する「クローズド・トーナメント」の形式を取っているカップ戦にあって,「シード」が用意されること自体が不自然と言えるようにも思うのです。


 アジアでのメジャー・タイトルは現状ACLに限定されている(しかも,出場枠は2)だけに,国内リーグ・カップ勝者に対する「ご褒美」が明確になりにくい部分があることは確かです。加えて,今季のレギュレーションはただでさえ不透明(かつ,不明確)なヤマザキナビスコカップの権威を必要以上に落とすことになりはしないか,と思うのです。
 “champions”である横浜がACLへの出場権を確保するのは当然のことです。ただ,“cup winner”であるならば,天皇杯勝者の磐田同様にナビスコカップ勝者も“cup winner”としての地位があるはずです。ならば,ゼロックス・スーパーカップに相当するプレ・シーズンマッチを“天皇杯勝者−ナビスコカップ勝者”で組み,その勝者に出場権を付与する,という考え方もあるはずです(というわけで,ワタシは「せめて・・・」と付言されている清尾さんの意見に賛同するものです)。


 浦和のMDPに長く関わってこられている清尾さんの意見だけに,“バイアス”がかかっているのではないか,と思う方もおられるかも知れません。だけど,ともすれば「賞金レース」と揶揄されかねないナビスコカップの権威や位置付けをしっかりとしたものとするには,清尾さんの意見は決して軽視できないものだろう,と感じます。