東芝スーパー杯 - 対カナダ戦(決勝)。

大上段に構えてはみましたが,いろいろな事情が重なって前半だけしか見ていないわけでして・・・。


 ですので,ゲーム・スタッツ(JRFUオフィシャル)も参考にしながら書いていこう,と思っています。ただ,前半だけの印象から言えば,間違いなく今後につながるゲームだったと思うです。


 まず,ジャパンが指向するラグビー・スタイルが徐々に定着してきているのではないか,という印象を受けました。


 体格差のあるラグビー・ネイション相手に真っ向からラック,モール主体のラグビーを挑んだとしても,ボールの支配を失う可能性が高く,ボールを奪われた位置によっては(=密集に人数をかけていれば,ディフェンスに回れる人数が少なくなる)致命的なピンチを招くことになる。そのような事態を回避しながら,ジャパンがもともと持っている技術を生かすには,組織性を高めたパス・ラグビーを武器にしていくべきだ,と。そんな思考過程に基づいてフレンチ・スタイルを導入したのではないか,と前回エントリでは書いたわけですが,これはある意味,「片翼」を整備したようなものではないか,と思うのです。


 で,今日のゲームでもうひとつの「翼」を現実に見ることができたように思うのです。


 密集戦を回避しながら,組織的なパスで相手を崩すには,フォワードを高い位置に置いておきたいわけです。高い位置でのディフェンスが可能になるならば,スピードを持っているバックス陣の攻撃的な自由度が高まる。そのための武器が「キック」であります。
 思うに,失われたエリアを回復するためにキックを使うことはあっても,あまりパスとしての意図を持ってキックを使ってくることはなかったような印象があるのですが,今回の対カナダ代表戦においては,明らかに高い位置での攻撃を可能にするための“戦術的な意図を明確に持ったキック”が見られたように思います。
 ともに大学生である森田恭平に,五郎丸歩。岩淵健輔のパスセンスを見たときの衝撃とは種類が異なるけれど,彼と同様に底知れぬポテンシャルを感じます。彼らの高い能力は間違いなく,ジャパンのスタイルを決定付ける「翼」になる。そんな実感を持ちました(とは言ったけど,カナダ戦は接戦を落としてます。ま,こういうこともあるですよ。)。