対神戸戦(05−GL#4)。

あのように劇的な結末になるとは予想できませんでした。


 と言うよりも,どんな能力のあるシナリオ・ライターでもあのように劇的な結末は「書きたくても書けない」のではないか,と思ってしまいます。ただ,その「劇的な結末」に至る過程は(圧倒的に高い個人能力を背景にしているけれど)すこぶるロジカルなものだったように思っています。


 比較的低い位置に守備ブロックを配し,中盤での強いプレッシングを回避しながらボール奪取を狙い,自陣深い位置からのロングレンジ・パスからカウンター・アタックを狙うというゲーム・プランを神戸は採用していたように見えた。
 浦和の生命線である中盤での厳しいプレッシングからのボール奪取,高い位置からのショート・カウンターが今節あまり機能しなかったように見えたのは,恐らく神戸のボール奪取のポイントが中盤高めの位置ではなく,中盤の低い位置,あるいは最終ラインにあったからではないか,と感じる。前半,決定機を演出しながらもフィニッシュに良い形で入れなかったのは,前線の攻撃力を最終ラインで抑え込もうという戦術的な意図に浦和サイドが嵌りかけていたことも意味しているように思う。言わば,中央での「縦」方向への突破をあらかじめ想定した神戸守備ブロックを真正面から崩そうとしてしまっていたように感じられた。


 後半は立ち上がりから神戸がパワー・プレー気味に攻め込む場面も見られたが,最終ラインを中心とした守備ブロックが丁寧に応対を繰り返していたように思う。ただ,中盤のマーキングがルーズになった一瞬を突くミドルシュートを打たれたり,ゴールポストを掠めるシュートを受けるなど,時間帯によっては不安定さを見せた時間帯も確かにあり,今後のカップ戦(グループリーグ)やリーグ戦における修正点になるのではないか,と思う。


 攻撃面にあっては,中央ではなくサイドを明確に意識した「縦」への突破が神戸のディフェンスラインを揺さぶる最大の要素であったことを終了直前の攻撃が示してくれたように思う。ボックス付近では安定している神戸のディフェンスラインをサイドに引き出し,ボックスでのディフェンスを薄くし,その部分へ中央から走り込む。そんな攻撃意図をしっかり共有できていたことが,決勝点へとつながってくれたのではないか,と感じている。


 ・・・これでグループリーグ4連勝であります。


 僅差での勝利が確かに目立ちますが,カップ戦では時に「勝負強さ」が必要です。内容面での問題は,総合力が厳しく問われるリーグ戦に反映させれば良い。カップ戦は内容も大事かも知れないけれど,前へ進むためには「勝利」こそが求められる。そう考えていくと,ある意味,カップ戦での理想的な勝ち方なのかも知れません。