"Unbelievable, Incredible, Brilliant."

要は,「素晴らしい」ということでありますが。


 タイトルに掲げた言葉は,トニー・ブレアが指揮官であるラファエル・ベニテスと選手たちに向けて贈ったメッセージからお借りしたものですが(出典は,デイリー・テレグラフの記事(英語)による),まさしくこの決勝戦を端的に表す言葉かな,と思います。コップエンドに捧げる言葉としても,これ以上の言葉を私は見つけられない。


 実際,この言葉の後には“The whole country is very proud of you.”(デイリー・テレグラフはこの言葉をヘッドラインに引用しています.)という一文が続くのですが,マグパイズの熱狂的なファンとして知られるブレア氏がこのような言葉を本心から言ったかどうかは・・・。本当は,UEFAカップを奪取したニューカッスル・ユナイテッドにかけたい言葉だったのではないか(=実際には,UEFAカップを奪取することは叶わなかったわけですけれど。),と思います。


 ともかくも。


 ACミランのストロング・ポイントだけが際立ち,対するリヴァプールは準決勝第2戦,スタディオ・デッレ・アルピで見せた非常に堅い組織ディフェンスが影を潜め,完全にパッシブな状況に追い込まれていた前半45分間だけを切り取れば,恐らくこの結果は想像の域を超える。確かに,“Unbelievable”なことだろうと思う。


 ハーフタイム,ロッカールームでベニテスがどのような具体的指示を与えたのか正確に窺い知ることはできないが,後半のレッズは前半のチームとはまったく違う印象を与える。後半立ち上がりから畳みかけるように3点差を一気に詰め,ゲームをイーヴン(あるいは,ACミラン心理的なダメージを考えればそれ以上)の状況に持ち込んだことはまさしく驚嘆に値する。90分を終了した段階でさえ,“Incredible”な展開と言っていい。


 延長戦,ギリギリのところでミランの猛攻を跳ね返して無失点に抑えてPK戦に持ち込み,デュデクのセービングとキッカーの冷静なシュートによって1983〜84年シーズン以来21シーズンぶりにビッグイヤーを奪取する。「素晴らしい」としか言いようがない。


 以前のエントリで,“Advantage, Liverpool.”というヘッドラインをサッカーネットからお借りして,その時も感じたことですが,イギリス人の言葉に対するセンス,フットボールに対する造詣の深さはすごいな,と。今回,首相であるブレア氏の言葉に触れ,その思いを一層強くしました。ゲーム内容についても,戦術面や心理面でのマネージメントなど興味深い部分が非常に多かったので,あとでしっかり書いてみたいな,と思っています。