欧州連盟杯−決勝戦。

UEFAカップ決勝としては非常に渋いカード(ともすれば,「華がない」と評価されかねないカードかも知れませんが・・・.),スポルティング・リスボンCSKAモスクワ戦であります。


 いつもだったら,ESPNサッカーネットでもないと詳細に関する情報は得られないのですが,今回はサンスポの記事が速報にもかかわらず,かなり詳細にわたってリポートしてくれています。


 UEFAカップ決勝はスポルティングの本拠地で開催されることから,スポルティングカップ奪取にかけるモチベーションは相当に高いだろうと想像できましたが,CSKAとしてもロシア勢としてカップを高く掲げたい,という意識は強かったはずです。また,決勝ラウンドに入ってからのCSKAは攻撃力を高いレベルで安定させている印象が強く,(事実上のアウェイ環境である)カップ戦決勝においても攻撃的に来るであろうと考えていました。


 果たして,決勝の流れもそのような印象を裏付けるようなものだったようです。


 ファイナル・スコアは1−3。後半に3点を立て続けに奪取したCSKAに,スポルティングが屈した形になりますが,スポルティングとしては後半同点に追い付いてからシステムを変更してきたCSKAの堅守を崩せなかった,と言うべきかも知れません。攻撃の手を緩めずにゲームの主導権を握ることをスポルティングは意識していたのかも知れないけれど,同時に「焦り」をも生んでいたのではないか,と感じます。そして,CSKAはスポルティングの焦りを巧みに突き,追加点奪取に成功しました。確かにリアクティブかも知れないけれど,ゲームをコントロールするという部分においてはスポルティングを凌駕する部分があったのではないかな,と。ゲームを支配されたとしても動じることなく,むしろ決定的な場面を作らせない(あるいは,凌ぎきる)ことで相手を心理的に追い込み,鋭くカウンター・アタックを見舞う。日刊スポーツの記事でも触れられていますが,「カップ戦」のセオリーに忠実な戦術ではないか,と感じます。


 まだチャンピオンズ・リーグが終わっていないだけに,まとめるようなことを言うにはちょっと気が早いのですが,「カップ戦」らしさが戻ってきたと言うべきかも知れない,と思っています。ボール奪取の位置がクラブによって大きく違いますが,基本的にUEFAカップ,チャンピオンズ・リーグにおいて好成績を収めたクラブは「効果的にカウンター攻撃を仕掛けるための戦術的な修正」をしっかりとしてきているように思うのです。CLにおけるACミランリヴァプールはともにそういう部分での意思統一がしっかりしている印象があるし,準決勝敗退はしたものの,チェルシーは明らかにカウンター・アタックを念頭に置いた基本戦術でプレミアシップカーリングカップリーグカップ)を制し,CLにおいても好成績を収めています。


 さて,チャンピオンズ・リーグではどちらのクラブが“ビッグイヤー”を掲げるのでしょうか。カルロ・アンチェロッティ,あるいはラファエル・ベニテスになったつもりで,どう仕掛けるのか考えてみるのも一興かな,と思っています。