バルサ、奪冠。

スタンフォード・ブリッジでの欧州カップ戦,であります。


 ジョゼ・モウリーニョ率いるチェルシーに屈した時には「攻撃的フットボールの限界」や「カウンター・フットボールがトレンドになる」などと散々な言われよう(=私の記憶が確かならば,Numberのコラムがその急先鋒だったはずです。)だったので,個人的には絶対にリーグを制してほしいと思っていたわけですが。


 見事にリードを守ってタイトルを奪取してくれました(日刊スポーツ)


 以前のエントリで,私は「カウンター・フットボールが欧州カップ戦において優勢になったのではなく,カップ戦に合わせてチーム戦術を柔軟にアジャストすることができたクラブが勝ち上がってきたに過ぎないはず」というニュアンスのことを書いたことがあります。その意味で,フランク・ライカールトは「愚直」に過ぎたのかも知れない,と感じているのです。チェルシーはリアクティブなフットボールも縦横に駆使しながらゲームをコントロールしようとします。無論,プレミアシップ・ポイントのレコードを更新してチャンピオンの称号を受けたのだから,攻撃力が低かろうはずもありません。欧州カップ戦において,彼らはチェルシー(と言いますか,指揮官であるジョゼ)が緻密に組み立てていたであろうゲーム・プランに嵌ってしまったのではないか,と感じているのです。


 このことを裏返して考えれば。


 “トータル・フットボール”のエッセンスを継承している(と,少なくとも私はそう思っている)組織的,かつ攻撃的なフットボールという方向性自体に間違いはない,と感じていたのです(=バルサに対する好意的なバイアスがかかっていることは否定しませんが)。ただ,“チャンピオンズ・リーグ”が本質的には過去における“チャンピオンズ・カップ“と変わりない「カップ戦」であること,そのカップ戦に向けて戦術を微調整せず,リーグ戦を戦うかのように普段着なフットボール,攻撃的なスタイルを貫いてしまったことがある意味においては敗因だったのだろう,と私はシロート目ながらに思っていたのです。


 であればこそ,リーガ・エスパニョーラにおいてタイトルを奪取することで,方向性が間違っていなかったことを見せ付けてほしい。そう思っていたわけです。


 そして,彼らは見事にレアル・マドリーの追撃を振り切り,タイトル奪取に成功した。個人的にも,攻撃的であり,なおかつコレクティブなフットボールを展開するクラブがしっかりとタイトルを奪取してくれたこと,うれしく思っています。