対横浜戦(05−12A)。

昨季,嫌と言うほど思い知らされた“This is Football.”というフレーズ。


 このフレーズの持つ,本当の意味やその重みを思い出したゲームだったように感じる。


 時に,ゲーム内容よりも「結果」を求めなければならないゲームがある。ゲームを支配されようとも,主導権までをも失わないようにコントロールし,「勝ち点3」という結果をしっかりと奪取する。昨季,置き忘れたものは,いままでの浦和のスタイルだけではなく,「耐えて,勝ち切ること」が加わることによってはじめて拾い上げられるのだとすれば,その条件をひとつ,今節でクリアしたことになるのかも知れない。


 冷静に見れば,確かに1/34の試合でしかない。しかし,特別な意味を持った1/34があるのだとすれば,今節がその「特別な意味を持ったゲーム」だろう,と思う。今節をものにするか,落とすのかは大きくシーズンの成績を左右しかねないように感じていた。
 実際にゲームから受けた印象は,「リーグ戦」と言うよりもむしろ,「カップ戦」のようなものだった.互いのストロング・ポイントが真正面からぶつかり合うと言うよりも,互いの長所を効果的に消すことを意識しながら,鋭くカウンター・アタックを狙う。そんな図式であったように思う。そして,「典型的なカップ戦」を戦っているかのようなスタイルを徹底していたように感じる。


 理想を追えば,不満の残るゲームなのかも知れない。だが,シンプルに「勝つこと」,言い換えれば「勝ち点3」という結果のみが要求されるゲームではなかったか,とも思う。そして,勝ち点3を奪取することに成功した。


 さらなる高みを狙い,昨季置き忘れたものを取り戻すためには,時に「カップ戦」かと見紛うようなゲームをしっかりと勝ち切らなければならない。圧倒的な攻撃力を背景に,ゲームを支配することによって勝利を収めるだけではなく,結果だけにこだわったゲームを時に展開すること。今節の勝利によって,そのための処方箋を得られたかも知れない,と感じている。