欧州連盟杯−準決勝第2戦。

エールディビジ勢にとっては,“アウェイ・ゴール”という言葉が当分脳裏から消えることはないのではないか,と感じます。


 それほどまでに,欧州CLにおけるPSVアイントホーフェンと,UEFAカップにおけるAZアルクマールは似たような形で決勝進出への道を断たれることになっています。しかも,アディショナル・タイムの失点によって.偶然もここまで一致すると,「共時性」などという言葉では片付けられないように思ったりもします。


 ともかく,ACミランスポルティング・リスボンの勝負強さに敬服するとともに,PSV,AZも準決勝にまで進んできたことが幸運などではないことを第2戦においてしっかりと証明してくれた。そう思うところであります。


 いきなりはじめてしまいましたが。


 UEFAカップも準決勝第2戦が行われ,決勝進出2チームが決定しました。そこで,今回はBBCに敬意を表しつつ,“MOTD”方式(あるいは,“ダイヤモンドサッカー”方式とも言う。ま,どっちにしてもパクリではあるが。・・・放映権の問題もあるのだろうけど,こういう番組,実は貴重だと思うのですよね。)でAZアルクマールスポルティング・リスボン戦を中心に書いていくことにします。


 敵地で行われた第1戦において,1−2とスポルティングに先手を取られる形となったAZですが,第2戦をホームで戦えることもあって,ゲーム序盤から積極的に攻勢をかけてくるのではないか,と考えていました。ゲームはその通りに推移し,前半開始6分にAZが先制点を奪い,ゲームの主導権を掌握したかのように見えます。しかし,前半終了を目前にしたアディショナル・タイム,スポルティングに追い付かれ1−1で前半を折り返します。


 決勝進出に向けた最低条件として,1,2戦合計でのスコアをイーヴンに戻すべく,後半においても積極的に仕掛けていたAZでありますが,79分に追加点を挙げることで,合計スコアを3−3に持ち込むことに成功し,決勝進出は延長戦の結果に委ねられることになります。延長後半3分,AZが3点目を奪取することで決勝進出が大きく近付いたかに見えたのですが,延長戦終了直前のアディショナル・タイム,スポルティングに大きな意味を持つゴールを奪われ,結果的に準決勝を落としてしまいます。


 第2戦だけを考えれば,2−1での勝利。延長戦においても1−1のドローではあるのですが,延長戦終了直前の失点がAZにとってはすべてでありました。逆に言えば,一瞬の隙を見逃さずにゴールを奪ったスポルティングの勝負強さがAZを上回った,と見るべきかも知れない,と考えています。


 もうひとつのゲームであるCSKAモスクワパルマ戦は,ホーム・アドバンテージを存分に生かした形でCSKAがゲームの主導権を握り続け,3−0で第2戦を制しています。第1戦はスコアレス・ドローでしたので,1,2戦合計でも3−0。CSKAが決勝進出を決めています。


 パルマの指揮官であるカルミニャーニは,UEFAカップ奪取ということ以上に“セリエA残留”という目標の方がクラブにとってはるかに重要,というコメントをことあるごとにメディアに向けて残していますが,その姿勢は理解できないでもないことです。ただ,準決勝2戦だけを取り出してみれば,UEFAカップへの準備をそれほどしっかりとしていなかったであろうことが,ある意味忠実にスコアに反映された,と思っています。11分にカルバーリョに先制を許し,後半に入っても立ち上がり11分を経過するタイミングで同じくカルバーリョに追加点を挙げられ,61分にはゲームを決定付ける得点を奪われる。ゲームに臨むチームの“モチベーション”が大きく内容に影響したゲームだったように見えます。


 これにより,スポルティング・リスボンCSKAモスクワ,という決勝カードになったわけです。スポルティングにしてみれば,地元で行われる決勝戦に向けてのモチベーションは高いものがあるだろうし,CSKAにとってもロシア勢として33年ぶりの欧州カップ戦決勝であり,決勝戦にかける思いも大きいのではないか,と思います。


 どちらが勝っても初優勝でありますし,いいゲームになってくれることを期待したいところです。