ホワイトフラッグ。

「降参」,とかいうわけではなく。


 ご存じの方も多いかも知れませんが,念のためちょっと講釈を。


 北米で行われるモータースポーツでは,“ファイナルラップ”を意味します。ヨーロッパ各国のリーグも終盤に差し掛かっておりますが,それを端的に表現する言葉はないものか,と思っていたときにモータースポーツ・フリークの血が騒いでしまったという次第であります(それにしても,最近は地上波での露出が少ないですねェ・・・。)。


 というわけで,リーグ終盤の様子を欧州蹴球事情拡大版として書いていきたいな,と思っておりましたらば,インパクトのある記事(スポナビ)を発見してしまいました。中身には触れませんので,ご一読あれ。思うに,間違いなく何らかの処分対象になるはずですだから,公式記録として残るとは考えにくいのですが,ともかく驚き,であります。こちらの方が「欧州蹴球事情」としてはキャッチーだったかも。


 ・・・失礼しました。さて,本題であります。


 エールディビジではPSVアイントホーフェンが一足早く優勝を決めていますが,私はフース・ヒディンクの「現実主義的な戦略」が選手に深く浸透していることを中田さんのリポート(スポナビ)から感じました。欧州カップ戦を控え,主力選手を温存しながらもしっかりと勝利を収めることができる,ということは,主力と控え選手とで戦術理解度には差はないだろうことがうかがえます。であれば,どういう戦力パッケージになったとしても,ヒディンクが目指しているフットボールをしっかりと実践できる,ということを意味しているように思えます。欧州CLにおいては“ダークホース”的な扱いですが,ACミランもかなりの強敵を相手にする,と考えておいた方がいいかも知れません。決して侮ることはできないクラブだろうな,と感じています。


 また,「現実主義的な戦略」という意味では,リーグ制覇に王手をかけたチェルシーも同じかも知れません。


 ガンナーズから見れば,「単に数字上可能性が残っているに過ぎない状態」と言えるかも。まず,目前のゲームを落とすわけにはいかない。といって,逆転優勝にはチェルシーが全敗してくれることが条件になるわけで,そんな幸運があるとも思えない。ほぼリーグ制覇と言ってしまっていい。タイトルに示した“ホワイトフラッグ”はチェルシーに向けてのもの,というわけです。


 さて,ほぼリーグタイトルを手中に収めたチェルシーですけど,ロイターの記事(Sports@nifty)によればこのままいくと50年ぶりのリーグ制覇,だそうです。今までも強烈なタレントを揃え,「優勝候補」としてその名前を挙げられてはきていましたが,「強さ」を感じるまでにはならなかった。PSVのヒディンクと同様に,モウリーニョの「現実主義的な戦略」がタレント軍団に勝利のための方法論を明確に示したのだろうな,と感じています。


 このように,現実主義的なクラブがCLで準決勝進出しているというのは,確かに何かを示唆しているように感じる部分があるかも知れません。


 重要なゲームでは「現実主義」的な戦略も重要な要素だろうと思ってはいます。しかし,リーグ戦の戦い方までもが同じアプローチではフットボールの魅力をともすれば否定してしまうことにもなるように思うのです。それだけに,私としてはレアル・マドリーの猛追を受けてはいるけれどバルサに踏み止まってほしいと願っています。「現実主義的」なフットボールではない,攻撃的なフットボールでもしっかりと結果を残せることを示してほしい。そう願っています。