磐田の10番に思うこと。

個人的には,「危険なセカンド・ストライカー」という印象が非常に強い。


 いまでも強烈に印象に残っているのは,2002シーズン,ワールドカップ中断が明けた直後のゲーム。


 誤解を恐れずに言えば,「他人の祭り」にそろそろ飽きが来ていた頃であり,再開されるリーグ戦への期待感は相当膨らんでいたように思う。その期待感を完膚無きまでに打ち砕いたのが,彼のゴールだった。その時も,認めたくはないが,彼の特徴は100%表現されていたように思う。


 オフサイドになるリスクを背負いながら,積極的に前線へ飛び出し,セカンド・ボールを貪欲に狙う。


 ポジショニングも絶妙なのだろうけれど,それ以上に彼個人が持つ戦術眼が相当なハイレベルにあるのだろう,と想像する。彼のプレーを数値化すれば,このようなもの(データスタジアム)になるのだろうけれど,彼の本来の価値はピッチ上に表われるもの,ましてや数値よりも“戦術眼”という不可視的なものにあるのではないか。


 敵として,彼以上に危険な選手は恐らくいないだろう,と思う。


 フットボーラーとして,年齢は恐らく誰もが逃げることのできないものであろうと思う。しかし,それを補って余りあるクレバーさを持ち合わせている。「経験値」と言って良いかも知れない。恐らく磐田としても手放さない選手の最右翼に位置するだろうと個人的には考えていた。それだけに,日刊の第一報には正直目を疑った。


 クラブからの公式なリリースを待つ以外にはない話ではあるが,個人的にはこの移籍獲得を是非実現させてほしいと思っている。と言うのも,彼の“戦術眼”こそが,若手選手に大きな影響をもたらしてくれるのではないか,と期待しているからだ。彼のプレー・スタイルが模範になって,細貝,赤星に代表される若手選手の戦術眼が磨かれることこそが,我が愛すべきクラブにとって最大の補強材料になるのではないか。


 ・・・にしても,磐田の指揮官の考え方はワタシには理解の範疇を超えています(そのおかげ,という部分もありますから感謝もしておりますが。)。「世代交代」は確かに必須課題だけれど,今までのスタイルを捨ててまでラディカルに世代交代を進めるだけのチームに対する将来的なビジョンを果たしてお持ちなのでしょうか。まったくの他人事ながら,気になるところではあります。