欧州CL決勝トーナメント - 準々決勝第2戦。

まず最初に,業務連絡でございます。


 欧州版のカテゴリ,新設しました。


 CL,UEFAカップにFAカップと結構欧州ネタ(イングランドが軸足でありますが。)を取り上げることが多いので,国内ネタと分離した方がいいのでは,という判断であります。遅きに失した感がありますが,随時過去ネタも必要に応じてカテゴリ変更を加えていきますのでご理解のほどをお願いしたく。


 ということで(多分お察しのこととは思うけど)オールドタイプな蛍光灯,のErnestです。


 さて,イングランドびいきとしては,何はなくとも準決勝進出を決めてくれたリヴァプールに感謝,であります。決して高いとは言えなかった下馬評をきっちり跳ね返すなど,なかなか痛快じゃあないですか。それ以上に,20年前の「亡霊」を振り払うことができたことの方が大きいかも知れません。


 もちろん嬉しくないはずもないですが,まだこれでリヴァプールの欧州カップ戦が終わったとは思っていないのです。まず,同じイングランド勢であるチェルシーとの準決勝が待っているわけで,日刊スポーツにアップされている共同配信の記事が使ったフレーズを言うにはまだ早い,と感じています。「黄金時代を彷彿させる」というフレーズが使えるのだとすれば,少なくともそれは決勝進出を決めた時だと思っています。ユヴェントスのホームであるデッレ・アルピで行われた第2戦。前後半通じてのシュート数12(枠を捉えたものについては,3),ボール支配率に関しては60%とほぼゲームを支配していたユーヴェに対して,決して集中を切らすことなく丁寧に応対を繰り返し,巧みにゲームをコントロールし続けた組織的守備は,前任指揮官であるジェラール・ウリエの遺産を感じさせるものではなかったか,と感じています。


 ウリエが築き上げた組織的守備という基盤を,ラファエル・ベニテスが第2戦において存分に生かした。そんな感じがしているのです。


 ということで,今回は準々決勝第2戦をまとめて書いていこうと思っています。


 一方,同日開催のもうひとつのゲームであるPSVアイントホーフェン−リヨン戦は,まさに「薄氷を踏むような」勝利をPSVが飾った,と言うべきだろうと思います。


 ホームで第2戦を戦うPSVが立ち上がりから積極的に仕掛けてくるかと考えていたが,10分に貴重な先制点を挙げたのはリヨンのヴィルトール。前半ヴィルトールが放ったシュートを含めて,リヨンのシュート数は2にとどまるのに対して,PSVは7本ものシュートを放つがゴールネットを揺らすことなく折り返す。PSVがドローに持ち込むのは後半開始直後の51分。その後もPSVは追加点を狙って攻勢をかけるものの,リヨンもしっかりとPSVの攻撃に応対し続けながらカウンター攻撃を繰り出し,1−1のまま前後半を終了する。延長戦においても,両者拮抗した状態は変わらずに第2戦を終了する。結果,1,2戦合計でも2−2のドローとなり,雌雄をPK戦で決することになる。このPK戦においてリヨンを4−2で下し,フース・ヒディンク率いるPSVが準決勝進出を決めている。


 サッカーネットのライター氏によれば,チャンピオンズ・リーグ決勝トーナメント(決勝戦は除きます)において,PK戦にまでもつれ込んだのはこのゲームが初めてだということです。PSVにしてみれば,予想外の苦戦と言えるのでしょうが,リヨンにとっては,ホームでの失点によって第1戦をドローに持ち込まれてしまったことが大きかった,ということになるかも知れません。


 それ以上に,欧州カップ戦の文法に忠実なゲーム運びを選んだヒディンク,そのゲームプランに対して高い実行能力を発揮したアイントホーフェンの選手たちを褒めるべきかも知れないな,とも思っています。


 さて,リヨンの準々決勝敗退に至る図式は,チェルシーに1,2戦合計5−6で破れ,準々決勝敗退を余儀なくされたバイエルン・ミュンヘンにも,ともすれば当てはまるかも知れません。バイエルンの視点から見れば,スタンフォード・ブリッジで行われた第1戦での4失点,中でも1−1のドローに持ち込んだ直後,ランパードに立て続けに決められた2ゴールが準決勝進出にとって最も大きな障害になってしまったと思うのです。オリンピアシュタディオンでの第2戦でもランパードに先制を許すなど,ランパードにやられた,という意識があるかも知れないな,と。それでも,第2戦を3−2で制したことには敬意を表したい,と思っています。


 最後に,バイエルン・ミュンヘンチェルシー戦と同じく12日にスタディオ・ジュゼッペ・メアッツァで行われたインテル・ミラノ−ACミラン戦ですが・・・。


 サンスポの記事以外に何かを書きたい気分では,正直ないですね。サポーター,ファンにとってジャッジメントに対する不満は当然あること。それも含めてフットボールであるはずだと思っているのだけれど,スタディオ・ジュゼッペ・メアッツァにいた一部のインテリスタはそう思っていないように見える。しかも,周到に大量の発煙筒を準備している。ピッチに発煙筒などを投げ込むことが,インテルの選手の背中を押すことになるのだろうか。UEFAからどのような処分が下るのか分からないが,自分たちが愛すべきクラブに泥を塗ったことは間違いないと感じている。


 ・・・何か,現在のイタリア・フットボール界が「ヘイゼルの悲劇」に代表されるフーリガニズムの亡霊に取り付かれているように感じ,懸念を持っていることは確かです。