欧州CL決勝トーナメント - 準々決勝第1戦(その2)。

スタンフォード・ブリッジダッグアウトには,姿がなかったものの。


 指揮官の考え方は十分にピッチ上の選手に浸透していた。・・・どころか,「遠隔操作」疑惑があるとか。遠隔操作(と言いますか,無線機などを使った指示でしょうけれど。)が事実ならば,相変わらず「奇行師」ぶりを発揮しているようにも感じます。また,チームより指揮官の方がクローズアップされてしまうというのも考え物かも知れません。


 というわけで,いろいろ各メディアによって情報が出てきた残り2戦について書いてみようかと。


 まず,もうひとつのゲームである“ミラン・ダービー”からはじめますと。


 やはりミランの戦い方は熟成されている,というのが,まず最初の印象であります。「典型的な欧州カップ戦」の図式に持ち込まれたことが,経験豊かなアンチェロッティに有利に働いたのだろうと感じます。前後半通じて,ミランインテルともに放ったシュート数はともに9。インテルに関して言えば,前半だけで4本のシュートを放っているのですが,ゴールマウスを的確に捉えているのは前半終了直前のクルーズのシュートだけに止まっています。また,フリーキックのチャンスを2回奪っているにもかかわらず,そのチャンスを生かし切れずに終わっています。言わば,前半ゲームを支配していたのはインテルサイドだったわけです。


 対してミランは前半に関してはシュートにまで持ち込めた場面が少なく(前半のシュート数はわずか1)見るべきところはありませんが,後半になって猛然とチャージをかけてきた印象があります。後半開始直後の47分,ヤープ・スタムのゴールによって先制点を挙げ,75分にはシェフチェンコのゴールによって貴重な追加点をものにします。後半放たれたミランのシュートはいずれもゴールマウスを捉えたものだったことに対して,後半のインテルフリーキックのチャンスを得た以外にシュートにまで持ち込む場面を演出できてはいませんでした。


 両者を分けたのは指揮官のハーフタイムにおける的確な指示,そして「決定力」ということになるのかも知れません。この点を第2戦に向けて,インテルのコマンダトーレであるロベルト・マンチーニはどのように修正してくるか。この点に注目してみたいところです。


 では,今回の本題に移ることにします。


 バイエルンにとって,終了直前の93分に奪ったミヒャエル・バラックのペナルティ・ゴールが第2戦を戦う上での「命綱」,言い換えれば反転攻勢に出るためのきっかけになるかも知れない,と考えている。スタッツを見れば,ボールを巧妙に「持たされていた」ような印象がある。


 チェルシーとしては,それほどポゼッションを高めずとも,攻撃を仕掛けることは十分に可能ということなのだろう。それほどまでに,前後半通してチェルシーの戦い方は安定していたと見ていいように思う。


 それだけに,4−1というファイナル・スコアで第1戦を終えたかったに違いない。第2戦をホームであるオリンピア・シュタディオンで戦うバイエルンに(狭いことは確かだけれど)活路を与えてしまったことは惜しまれる。第2戦,チェルシーは積極的に先制点を奪いに行くことが必要になってきたように思う。バイエルンに攻撃を封じられ,2点差以上を付けられてしまうと掌中にしかけている準決勝へのチケットを失ってしまうことになる。そう考えていくと,どちらが先制点を挙げるのかがミュンヘン・オリンピアシュタディオンで行われる第2戦最大のポイントになるのではないか。


 それ以上に気になったのは,4月8日付読売新聞朝刊に掲載された「ワールドスポーツ」という記事の内容です。


 冒頭でも触れましたが,UEFAからベンチ入り禁止処分を受けているモウリーニョが,ピッチの外から通信機器を使って指示を飛ばしていた,との疑惑があるというのです。本人は競技場から離れた場所でテレビ観戦していた,とクラブサイドはコメントを出していますが,ポルトで指揮を執っていたときも同様の疑惑をかけられていたというだけに,今回もメディアのハード・マークに遭い,実際に疑わしい動きを押さえられてはいます。


 本当のところは分からないけれど,監督が「遠隔操作」したかどうかなどは,選手たちの活躍,彼らが出した結果とは無関係であるはずです。指揮官としての能力は疑いようもないけれど,ともすればチームの過小評価につながり,誤解を招きかねない「エキセントリックな言辞,行動」は確かにちょっと控えめにした方が良いかも知れないな,と私も考えています。