レアル・マドリーの憂鬱。

欧州カップ戦でファビオ・カペッロ率いるユーヴェに屈したこと以上に,リーガ・エスパニョーラでの不甲斐ない敗戦(日刊スポーツ)の方がはるかに問題ではあるだろうけど,恐らく問題の核になっているものは同じ,なのだろうと思うです。


 というわけで,レアル・マドリーの不調から何か見えてくるものもあるだろう,と思うので取り上げてみることにしました。Ernestです。


 恐らく,戦術面などというシンプルなことではないだろうな,と。


 その点,ヒントになるのはホセ・アントニオ・カマーチョの電撃辞任ではないかな,と推理しています。そこで,カマーチョ辞任当時の記事をいくつか参考書に準備することにします。


 まず,OCNスポーツの記事です。その中で,リポーター氏は

 サッカーはチームへのロイヤリティが非常に重要なスポーツ。・・・だが、勝利への執念より個人の利益が優先されるチームにこれを求めるのは難しい

としています。また,NumberWebにアップされている,木村浩嗣さんのコラムに同じようにカマーチョ辞任を扱ったものがあります。このコラムで木村さんは,カマーチョが人心掌握に失敗して不協和音を出していたこととともに,それを放置したクラブ・フロントに言及しています。


 これらを見るに,現在ルシェンブルゴが直面しているだろう問題は,「いつか来た道」なのではないか,と想像するのです。しかも問題がこの時よりも深刻だな,と思うのは,一度はルシェンブルゴの手腕によってレアル・マドリーが「戦う集団」としての姿を取り戻しかけたにもかかわらず,ユーヴェとの欧州カップ戦やその後のリーガ(対ヘタフェ戦)では時計の針が逆転したかのような印象を与えてしまっていること。


 ただ,同時に木村さんはこうも言っています。

 選手を総とっかえする訳にはいかない。今のレアル・マドリーができることは唯一、監督交代でしかないからだ。


 言外に,ペレス−フロレンティーノと継承されてきたクラブ戦略自体への批判が込められているように感じるのは,私だけではないはずです。


 さて,ルシェンブルゴはどう出るでしょうか。クラブ・フロントがどれだけ彼に協力できるかにもよるだろうけれど,カマーチョのように「強権発動をも辞さない」態度を貫くだけでは恐らく空中分解を招くだろうし,さりとてデル・ボスケカルロス・ケイロスのように「自主性尊重」だけでは短期間での立て直しは覚束ない、とも言えるはずです。クラブ・フロント,選手を含めて全方位を見据えた難しいマネージメント(ハンドリング)を強いられることになりそうです。