欧州CL決勝トーナメント1回戦(その2)。
前回エントリで期待感を表明したのに。
きっちりと裏切ってくれました。
マージーサイドの宿敵にしっかりと歩調を合わせてしまった,とでも形容しましょうか。それににしても,オールド・トラフォードでの戦い方ではないし,相手の思うツボなゲーム展開ですな。ストレットフォード・エンドの住人たちにとっては,フラストレーションのたまる展開だっただろうな。逆にアンチェロッティにしてみれば,ヒディンクと同じコメントを残したいところでしょう。
「典型的な欧州カップ戦の戦い方だった」と。
それ以上に,どうしようもなく“イタリアン・ジョブ”ですよね。
その“イタリアン・ジョブ”な戦術を得意とするカペッロ率いるユーヴェを退けたルシェンブルゴのマネージメントは,もっと注目されても良いと思うのですが。って見事に脱線しましたね。
本題に戻りますと。
サッカーネットのライターさんは,マンチェスター・ユナイテッドの(ホスト・チームとしては非常に消極的なものではあるにせよ)ゲーム・プランがあと12分,という段階で瓦解した原因をゴーリーのミステイクにある,としています。しかも,イングランドのクラブが関わった“キーパーのミスによる敗戦”を引き合いに出しながら。
確かに,キーパーのキャッチング・ミスが敗戦に直接結び付いてはいる(=ファンブルが結果的に決勝点をアシストしていることになりますからね。)けれど,枠を捉えたシュート数があまりにも少なかったというのも指摘しないとフェアではないのでは?と思うところです。
しかし,それ以上にしっかりとした守備応対を繰り返したミランを褒めるべき,かも知れないな,と考えています。相変わらずイングランド勢に肩入れしてはおりますが,ご容赦のほどを。
さて,褒めると言えば,逆転でチェルシーを沈めたバルサもきっちり褒めておかないと。
ゲーム開始直後から積極的にチェルシー・ゴールを脅かし続けはするものの,ゴールが枠を捉えられない中,オウン・ゴールという最悪の形での先制を許してしまう。それでも,前半を最少失点に止めたことは大きかったはず。チェルシーの攻撃がほぼ機能していなかったことは,シュート数がわずか2に止まり(後半に至ってはシュート数0。),しかも枠を捉えていなかったことからも容易に分かる。
後半に入ってからのバルサの猛攻はゲームキャストを見れば一目瞭然。ほぼ一方的に攻撃を仕掛け,その中から65分に同点ゴールを,74分には決勝点となる逆転ゴールを挙げる。その2点ともに絡んだロペスの活躍はもちろんのこと,チェルシーの攻撃起点をほぼ無効化したバルサの中盤,及び(オウン・ゴールという余計な部分はあったにせよ)チェルシー攻撃陣の突破にしっかりと応対し続けた守備ブロックを褒めるべきかな,と思うわけです。
対して,チェルシーにしてみれば,オウン・ゴールにせよアウェイで得点を挙げられたことだけは収穫だろう。しかし,スタンフォード・ブリッジでの第2戦までにどう組織的な守備から速くスムーズに攻撃を組み立てるのか,再度戦術面のチェックをしておかないと決勝トーナメントを勝ち抜くのは難しい情勢になっているように感じる。
同じ得失点差1でも,ホーム無得点のマンUはちょっと問題ですよね。
ミランの守備ブロックを崩しきれなかったのか,ペナルティ・エリア深くに侵入してのシュートがちょっと少ないような気がします。スターターで,ギグスがFW登録になっていることも少々気になる。アウトサイドからミランの守備ブロックを引き出す動きが少なく,逆に中央突破を続けたために堅い守備ブロックに阻まれてペナルティ・アーク付近からのシュートが多くなった。あるいはFWのポジショニングの問題からアウトサイドでノッキングを起こしていたために,ボールが早い段階で中央に集まってしまったのではないか。
いずれにせよ,ミランの守備ブロックを積極的に揺さぶらないと,ルーニー,ニステルローイの破壊力を存分に生かすことは難しいはず。状況から言って,ジュゼッペ・メアッツァでは攻め倒さなければならない。そのための戦術的な修正点をすでにサー・アレックスは洗い出しているはずです。第2戦では,吹っ切れた攻撃を展開してほしいものであります。
他会場のゲームも,それぞれに緊張感溢れるものだったようで。
ヴェルダー・ブレーメン−リヨン戦では,圧倒的にゲームを支配しようとも,一瞬の決定力によって勝負に屈してしまう欧州カップ戦の「怖さ」を感じ,FCポルト−インテル・ミラン戦では,ポルトが同点に追い付くことで“イタリアン・ジョブ”を完成させなかったことは最低限のタスクを達成しただけとは言え,妥当な結果だっただろうと思います。
それにしても,水曜日(現地時間)開催分を含めてロンドン勢はともに厳しい状況ですな。