対シリア戦を斜め読み。

恐らく,最終予選での中東勢は前半のシリアのような戦術を採用してくるはず。


 その時に,いかに「焦らないか」が,「ゲームを確実にモノにする」ための鍵になりそうだな,と思っていました。それゆえ,局面ベースでゲームを眺めていたつもりが,かなり俯瞰する感じになっていました。というわけで,1日遅れでこのネタに触れてみます。


 Ernestです。


 というわけで,基本的に印象に残っているのは,まず守備面での話であります。


 攻撃面ではある程度のリスクを背負わなければならない(=積極的な後方からの攻撃参加によって,相手ディフェンスラインを攪乱,パス・コースやスペースを作り出す)のは言うまでもないことですが,最終ライン,あるいはボランチが攻撃参加した場合のカバーリングについての確認,というのは課題になるのではないかと。例えば右サイドで田中(誠)選手,加地選手がともに攻撃参加している場合,誰が右サイドのスペースを消すのか。今回で言えばストッパーの宮本選手が右サイドに開くのか,あるいは福西選手が下がり目に位置して,カウンターに備えるのか。カバーリングの確認が中東勢との戦いの前にはバイタルになりそうな感じがします。


 また,トップフォームではなかったからか,それともいささか慎重になりすぎていたのか。最終ラインが早い段階でマン・オリエンテッドな守備に変わり,そのために宮本がシリア攻撃陣に引きずり出されるような形になってしまった。ゴール前に飛び込む選手がいたら,いささか危険な場面になる可能性があったのではないか。もっと高い位置でラインを維持する,積極的なライン・コントロールでも良かったと思います。


 では,攻撃陣。


 やはり,TBSコメンタリー陣,特に水沼さんも指摘していましたが,アレックスのポジショニングがサイド攻撃の鍵を握るような感じがします。クロスの精度は明らかに向上してきているけれど,積極的に上下動を繰り返すことで相手ディフェンダーをつり出すことができると,中央からの攻撃が破壊力を増すのではないか。そういう意味では高い位置に張り過ぎて,サイド攻撃の効果を若干なりとも薄めてしまったような気がします。


 とまあ,要修正点になりそうなところばかりを挙げてみましたが,現在の代表のチーム状態から見てそれほど心配することはないだろう,とちょっと楽観的な考え方に傾いています。例えば,前線は積極的に相手ディフェンスラインをかき回す人材に恵まれ,中盤との連携を取ったプレッシングが機能すれば,高い位置からの攻撃が可能になるはずです。いわゆる「国内組」のモチベーションの高さ,健全な競争の存在が,“チーム”としての成熟度を飛躍的に向上させているだろうからです。このような状況では,「海外組」と言われる各選手にしても,大きな危機感を持ってチームに合流するはず。“健全な緊張感”は必ず,チームを好循環の流れに乗せるはず。


 今回のシリア戦は3−0というファイナル・スコア以上にゲーム内容からくる修正点の洗い出し,チーム内競争がチームに好循環をもたらしていることを実際にゲームで表現したことなど,「有効に作用したテストマッチ」と評価できるかも知れません。