対湘南戦(13−06)。

確かに,連戦の影響が感じられました。


 けれど,ファースト・チームは「勝ち点3」を積み上げていくこと(勝ち点差を広げられないこと),というタスクをクリアしてきました。確かにミシャさんが言うように,プロフェッショナルな試合ではなかったかな,と思います。


 湘南戦であります。


 なかなか気候条件が安定してくれなくて,日曜日の中野田は強風の影響を受けていました。と言っても冬の季節風のように,北ゴール裏から南ゴール裏へと風が吹き抜けるのではなく,南サイドスタンド方向から北ゴール裏へと風が吹き抜ける形でした。


 今節の対戦相手は,戦術的なパッケージでギャップが発生する形ではありません。その意味で,立ち上がりからギャップを積極的に突き,主導権を奪いに行く,という形は難しいと見ていました。むしろ,相手がどのエリアでボールを奪いにくるのか,冷静に見極めながら試合を動かしていくのだろう,と見ていたわけです。その意味で,相手のボール奪取イメージがそれほど明確ではなかったことは,チームにとって予想外だったのではないかな,と思います。エリアごとに見ると,高い位置でのプレッシャーを狙っている,という見方もできます。できますが,チームとして,高い位置でのプレッシャーを共有していたとは言いにくい。むしろ,守備ブロックで抑えて,という守備応対のイメージに(結果として,かも知れませんが。)なっていたようです。


 ボールを動かし,攻撃を組み立てる,という段階まではある程度,浦和が描くイメージ通りに戦いを進めることができていたように思います。思いますが,この段階で,チームのコンディションが厳しいこともまた,感じられたように思うのです。パスを繰り出す側にも,パスを呼び込む側にも,イメージのちょっとしたズレがあるように感じられたのです。100%フィット,あるいは100%に近い状態ならば,パスを出すタイミングで距離感を誤ることはないだろうし,パスを受け取る側が受け取りやすい距離感でパスを出せるはずです。また,パスを受ける側にしても,パスを受け取る側がスペースを意識しているのか,それとも足下に近い,ピンポイントな位置を狙っているのか,戦術的なイメージがかみ合わない局面がちょっと見えていたな,と思うわけです。


 もちろん,試合でリズムをつくっている部分もあるかな,と思いますが,どこかで連戦の影響は個々のフィジカル面であったり,戦術眼などの部分にダメージを与えてきていたのかも知れません。それでも,相手が思うよりも高い位置でプレッシャーを掛け与えてこないこと,反面で5バック気味に守備ラインを敷いていることを冷静に見極め,戦い方をしっかりと調整してきたように感じます。先制点を奪取した形は,相手守備ブロックのギャップを鋭く突き,かなり難しい体勢からアウトサイドに引っ掛けるような形でボールタッチ,というように,ある意味で最も興梠選手らしい得点の奪い方であったように思います。


 リードを奪ってハーフタイムを迎えたものの,最小得点差にとどまっています。後半立ち上がりは,積極的に攻撃を仕掛けてくる相手に対して,その攻撃を受け止める時間帯からはじまりました。高い位置からのプレッシングが機能して,ボールを高い位置で循環できるようになると,試合の流れが相手に傾くことになる。そんな空気を,戦術交代が振り払った側面があるな,と感じます。戦術交代によってピッチに入ったマルシオ選手,そして関口選手は「縦」を狙う,という姿勢をはっきりと表現していました。そのために,相手は前掛かりに仕掛けていくことのリスクを意識せざるを得なくなる。実際,後半はビルドアップで相手を揺さぶりながら決定機をつくる,というよりも,カウンター気味に決定機へと持ち込む,という形が多くなったように感じます。中野田を吹き抜けていた風を思えば,相手守備ブロック裏を狙うための戦い方として,カウンターは大きな意味があったように思います。


 決定機,という意味ではしっかりと決めきってほしい決定機があったことも確かですし,その意味でもっと楽に試合を動かすことができた,という見方はできるでしょうし,課題として意識すべき部分かも知れません。ただ,この試合では,リスタートから追加点を奪取することができています。コンディション的に厳しい状態でも,しっかりと「勝ち点3」を積み上げていくためには,リスタートから得点を奪えることは,大きな意味があると思っています。


 戦術的な修整(あえて,整える,という意味でこちらを使ってみます。),というよりは,コンディショニングにウェイトを置いたトレーニングから実戦,というリズムだっただろう状態から,しっかりと戦術的な修整に時間が取れる状態になった。勝負強さが見えてきた,という収穫とともに,連戦で見えた課題をしっかりとクリアして,次節へと向かっていってもらいたい,と思います。