那須選手獲得に思うこと。

やはり,2つのパッケージを動かすつもりかも,と思いますね。


 より理想に近付くためのパッケージと,現実主義的な戦い方を意識したパッケージと。


 そのどちらを意識して,那須選手を獲得するという結論に到ったのか。どちらであるにしても,過密日程を小さな基盤で戦い抜くのではなくて,可能な限り大きな基盤で戦っていく,実質的に2つの戦い方を狙える基盤で戦っていく,という意図が感じられるように思います。


 ということで,昨日の段階で積み残しにしてしまった,那須選手獲得についてのリリースをもとに書いていこう,と思います。


 さて。那須選手はアテネ世代であります。世代バランスを調整する,という意味合いも感じられたこれまでのリリースとは違って,コーチング・スタッフの意向が反映された戦力整備,という印象をより明確に感じるリリースであります。


 ミシャさんが狙うフットボールは,確かに静的には3なのですが,4の要素も色濃く持っているパッケージです。最終ラインの両翼に構えるディフェンダーも,単純に3のストッパーと言うよりは4で言うSBな時間帯が結構ありますし,サイド・ハーフ(と言いますか,ウィンガーと言いますか)とダブル・アウトサイドな連携を意識しています。この,ダブル・アウトサイドな連携をより強めたい,という意図があるのかな,と思いますし,それがためにSBとしても,CBとしてもプレーできる那須選手を,という判断に到ったのかな,と見ています。


 就任初年度である昨季は,「不承不承」(と言いますか,浦和の戦力と折り合いを付けながら)現実主義的な戦い方を選択していたのかも知れないし,それがために狙うフットボールが浦和に早い段階で浸透したのかな,と見ています。この戦い方,今季においてはちょっと理想に近付いていくのかも,と思うのと同時に,「意図して」現実主義的な戦い方もできるようにするつもりかな,と感じます。


 アジア,という舞台がなかったら,恐らく現実主義的な側面は薄まっていくのかも知れませんが,アジアの舞台で結果を出すという意思があるのなら,現実主義的な戦い方もできないといけない。そして,この戦い方は浦和のDNAに通じるものがあります。理想を追う,という姿勢を強く感じながらも,同時に現実主義的な部分を落とすつもりもないのだろう,と思うわけです。


 そして,ファースト・チームに外的な刺激を与える,という意味も込められているでしょう。


 昨季は,かなり小さな基盤でシーズンを戦ってきました。主力とリザーブリザーブに絡めるかどうか,というフットボーラーがかなり明確に色分けされていた,とも言えるはずです。競争という側面から見るならば,健全に機能している部分がちょっと少ない,とも言えたように思います。そんな状態がかなり変わる。初年度にして一定程度の実績を残しはしたけれど,それはそれで別の話。今季は再びゼロからスターターを組み上げていくよ,と。そんなコーチング・スタッフのメッセージも感じられる,ここまでのメルカートであるように思います。