興梠選手獲得に思うこと。

4のイメージが強烈ですからね。


 ある意味,初年度から一貫したパッケージを使ってきたクラブです。そして,堅守速攻という基本的な戦略にも大きな変化があるわけではありません。指揮官が代わろうとも,大枠においては大きな変化をしてこなかったチームから,違うフットボール・スタイルを指向しているクラブへと移籍する。確かに,ある程度の時間が必要なのかな,とは感じます。


 と同時に,4か3か,という戦術的フレームの話ではなくて,ある“シークエンス”を切り取ってみると,違う見方もできるかな,と思ったりします。


 スポーツ・メディアさんでは,かなり早い段階から名前が浮上していましたし,各紙の書き方を見る限り,正式なリリースは時間の問題なのだろう,と感じさせるものがありました。ということで,浦和からのリリースをもとに書いていこう,と思います。


 さて。2013型パッケージを推理しますに。


 リズムの落差,を意識しているのかな,と思います。相手を食い付かせるまでのリズムと,食い付かせたあとのリズムに落差をつくろうとしているのではないかな,と思うわけです。守備ブロックでボールを動かしている時間帯は,ある意味で相手がバランスを崩すのを「待っている」時間帯です。昨季は,このビルドアップ初期段階を狙われる(高い位置でのボール奪取を狙われる),という形もありましたから,当然今季は後方ビルドアップの精度を高めることも求められましょうが,後方ビルドアップの精度アップは別の話でありまして。


 攻撃へと,チームのギアを変化させたあとの話,であります。


 相手がボールを奪うためにチーム・バランスを崩すタイミングを狙い澄まして,縦への鋭さを表現しながら攻撃リズムを上げていく。このタイミングで,スペースを積極的に狙う姿勢が昨季は埋めきれなかった,という見方はあり得るかな,と思うのです。ターゲットとしての役割が1トップに求められるのは当然として,そのターゲットとしての役割,ボールを収めてからアウトサイド,あるいはセンターにボールを展開したあと,相手守備ブロックに対して駆け引きを仕掛け,裏を取る動きを見せる,そんな局面は確かに限定的だったかも知れない,と感じるところです。


 スペースへのフリーランを仕掛けながら,ボールを呼び込もうとする。


 ターゲットとして,どれだけボールを収められるのか,という部分は基本パッケージが4だっただけに判断が難しいところがあります。攻撃にしても,どちらかと言えばカウンター・アタックな要素が強いので,直接的にどこが,というのは難しいとも感じます。けれど,攻撃面で興梠選手が表現してきたシークエンスに獲得の意味があるのかな,と思うところです。いずれにせよ,興梠選手を組み込んだ状態での2013型が,どんなフットボールを見せることになるのか,楽しみであります。