対東京ヴェルディ戦(3回戦)。

優先順位を明確にしつつ,4回戦への切符をつかむ。


 最も大きな収穫ではないかな,と思います。


 どのようなフットボールを表現できたか,という要素よりも,しっかりと結果を引き寄せられるフットボールであったかどうか,自分たちが狙うフットボールを現実主義的に微調整しながら結果を引き寄せるためのフットボールを表現できていたかどうか,がカップ戦では問われるわけですが,この試合では,自分たちのフットボール,という軸足を動かさないようにして結果を引き寄せる,というアプローチをしてきたな,と感じます。


 さて。いつも通りに1日遅れ,の天皇杯3回戦であります。


 この試合,最優先課題は試合そのものには置かれていなかっただろう,と感じます。リーグ・スタンディングを冷静に考えるならば,カップ戦に主力選手を投入するというわけにはいかない。土曜日にリーグ戦を控えている状態で,メンタル,フィジカルを含めてのコンディショニングを難しくしてしまうミッドウィークの実戦は回避させたい(トレーニングから実戦,というリズムを整えておきたい),という意図は間違いなくあったはずです。ただ同時に,できるだけ多くのフットボーラーに実戦負荷を掛けたい,実戦負荷が掛かったなかでファースト・チームが描くべきフットボールを強く意識付ける,という意図もあっただろう,と感じるわけです。


 そして,結果を伴う形で実戦負荷を掛けられた,と。


 4−1−4−1(と言いますか,4−2−3−1と言いますか。)をどう動かすのか,という部分ではボールをどのエリアでチームとして奪うのか,であったりコンビネーションをどのような形で意識しておくべきなのか,という約束事が整理されてきているな,という印象を持ちます。持ちますが,まだまだしっかりと熟成していくべき要素も残されているな,と同時に思います。また,堀さんが狙うフットボールをしっかりと理解しているフットボーラー,このパッケージをピッチで動かすにあたって不可欠な要素,と感じられるフットボーラーが抜けてしまったときに,果たして同じような機能を維持できるのかどうか,という部分がまだこの試合だけでは明確なものにはなっていない,という印象を持つのも確かです。


 つまり。代表招集によってチームから外れる濱田選手であり,直輝選手であります。


 彼らが持っている個,そして戦術理解度は単純に誰かとリプレイスできるものではありません。であれば,個性が違った形で戦術が描かれることになるはずです。守備バランスで言うならば,CBとセントラル・ミッドフィールドで描かれる三角形が核であって,その核をどのようにして維持するか,が大きな意味を持ってきます。また,攻撃ユニットと守備ブロックをリンクする,という意味で直輝選手の意味は大きなものがあります。おおまかに言って,これらの要素をどう違う個性で描くのかな,と。そのときに,基本的な約束事までが落ちる,というのではなくて,違った個性で堀さんのフットボールが描かれる,というのがひとつの理想ですし,厳しい状況であるとしても将来につながる形というのはその理想の近くにあるのではないか,とも感じます。それだけにこの試合のスコアラー,原選手のような個性がどのような形でいまのファースト・チームのフットボールに融合していくのかな,というのが楽しみだったりしますし,リーグ戦最終盤を加速していくためにも必要な要素なのかな,と感じます。