11シーズンを前に。

戦術的な基盤からの再構築ではない,としても。


 新たに構築すべき要素は多岐にわたる。そう見るべきだと思っています。


 まず,指揮官が代わっています。監督はそれぞれに,理想とするフットボールを描いているはずですし,そのフットボールを率いることとなるチームに落とし込もうとする。どのようにチームとして守備を仕掛け,攻撃を構築するか,それまでとは違った戦術的な約束事が落とし込まれることになるはずです。であれば,フットボーラーが新たなフットボール・スタイルを皮膚感覚として理解するまでの時間が必要になる,と見るべきだろう,と思うのです。次に,戦力構成も変更を受けています。スターターとして浦和のフットボールを表現していたフットボーラーがチームを去り,反面で新たにチームに加入するフットボーラーがいる。今季に関して言えば,代表スケジュールという問題もあって,チームの中核を担っていくべきフットボーラーがチーム・ビルディングの初期段階で不在でした。昨季の戦力がそのままに維持されているのであれば,そして現任指揮官がセレクトするスターターが昨季と同じ,であるならば(あり得ない仮定論ですが。),昨季から今季への変更点が「感覚的に」理解できる可能性もゼロではない,かも知れません。しかし実際には,そういうわけではありません。当然に,イメージを束ねていくための時間が必要となってくる。守備応対にしても,攻撃面にしても相互理解を深め,チーム戦術へと結び付けていくための時間が必要,だと感じるわけです。浦研プラスで島崎さんが指摘するように。


 スタート・ダッシュを鋭く仕掛けられるかどうか。


 スタート・ダッシュが仕掛けられないよりは,鋭く加速できる方が望ましいのは当然ですが,短期的な加速で乗り切れるほどにリーグ戦は甘いものではない,とも感じます。スタート・ダッシュを仕掛けられるのかどうか,という部分でチーム・ビルディングを見るのではなくて,もうちょっと時間軸をのばしてみてもいいのかな,と思っています。


 主導権を掌握する,というのではなくて,「勝ち点」を確保するような戦い方であるとしても,チーム・ビルディングの方向性にブレを生じさせないようにする。厳しく,リアリスティックな戦いを強いられたとしても,11スペックなフットボールへの確信,チームの持っている確信が揺らがないように,アウトサイドも冷静に受け止めていく。同じく浦研プラスで福田さんが求めているのは,そういうことなのかも知れないな,と思います。
 あくまでも,リーグ戦は全34節が終了した段階で,どのポジションを奪えるか,であって,シーズン序盤でどれだけの結果,という話だけではありません。自分自身としても,冷静にできることを,とあらためて思うところです。