Last-minute Deal.

要は,駆け込みでの契約成立ですね。


 言葉が悪いですが,チェゼーナにしてみれば望外の「商品」だった,となりましょう。


 さて。今回も欧州な話を,まずはこちらの記事(デイリー・スポーツナビ)をもとに書いていこう,と思います。


 この記事でも書いてあるように,長友選手の契約は完全移籍のオプションを用意したローンでありました。であれば,保有権はFC東京にあって,この保有権をチェゼーナに移す,というのが第1段階だったわけです。つまり。チェゼーナは前倒しで完全移籍のオプションを行使,2億円をFC東京へと支払うことで保有権を獲得,前提条件を整える,と。
 対して,インテルチェゼーナに対して6億7000万円の移籍金と,長友選手との交換要員を用意することで,今回の交渉を早期にまとめようと企図した,と。で,実際にこの交渉がまとまるのが,ウィンドウがクローズする3分前であった,とのこと。


 プロビンチアから,リーディング・クラブへの移籍。


 チェゼーナも,どこかでこの図式を思い描いて長友選手の獲得へと動いたのでしょうが,チェゼーナでの存在感,そしてアジアカップでの存在感はその図式を相当程度にスケールアップさせた,と見るべきかも知れない,と思います。この記事では,インテルのほかにユーヴェやACミランも獲得を狙っていた,と書かれています(どの程度の裏付けがあるか,は別として。)。そして,この移籍劇には,インテルのコマンダトーレであるレオナルドさんと,レオナルドさんがロッソ・ネロのユニフォームをまとっていた時期に指揮官であったザッケローニさんの関係性が作用したとか。なるほど,ではありますが,いずれにしても,SBをポジションとするフットボーラーが,欧州のリーディング・クラブ,そのユニフォームに袖を通すことになる,というのは楽しみな話です。


 対して。


 フットボーラー的には「望んだ」移籍であるとしても,また,巨額の移籍金が動く話であるとしても,と留保文言を書きたくなるのが,フェルナンド・トーレスについての話(スポーツナビ)であります。
 スタンフォード・ブリッジからアンフィールドへと動く移籍金は確かに巨額ですし,メルカートでの活動原資として重要な意味を持つのも確かです。ではありますが,この記事にもあるように,トーレス選手を擁護してきたコップの住人たちにとっては,移籍にあたって彼が出したコメントは,相当な刺激材料になっただろう,と思いますし,ダルグリッシュもこの「駆け込み」移籍に対して不快感を持っているだろうことが,このコメントのニュアンスからうかがえます。


 リヴァプールにしてみれば,移籍金という部分では悪くない話であるとしても,同じプレミアシップを戦うクラブ,しかも昨季のチャンピオン・クラブに主力を引き抜かれる結果としての移籍金ですから,印象が大きく異なるのも当然,と言えば当然でしょう。


 それにしても,今季は「駆け込み」で大きな動きが相次いだな,と思います。