解決すべきは。

「何も変わっていないのか」。


 中野田のディスプレイに映し出された,2005シーズンから10番を背負ってきたフットボーラーの姿を見て,ふと頭に浮かんだ言葉でした。


 フットボール・クラブにとって,戦力の循環は避けて通れる話ではありません。長く主力として活躍してきたフットボーラーであろうとも,いつかは契約関係を満了する時期が訪れることになるのは間違いないし,その判断時期について異論を差し挟むつもりなどありません。クラブは,そのビジョンをもとに,あくまでも冷静に戦力構成を考えるべきである,と考えています。しかしながら,どのような決断をするにしてもフットボーラーへの敬意は持っていて然るべきだろう,と思うのです。「理」と「情」,そのバランスを弁えていてほしい,と思うのです。


 あの姿を見て浮かんでしまったのは,ファースト・チームのみならず,クラブまでもが混乱状態に陥っていたシーズンのことです。そんなシーズンのデッド・コピーを見せられているように感じてしまったのです。


 まだ,シーズンは終わっていません。リーグ戦も4節を残していますし,ACLへの切符につながるカップ戦もまだ控えている段階です。ファースト・チームがファイティング・ポーズを崩すには,時期尚早なのです。むしろ,ひとつの方向にチームを束ね上げていくべき時期でもある。にもかかわらず,さまざまな情報がスポーツ・メディア方面では出てきています。


 はっきりと書けば,不快極まる話です。


 かつてのようにクラブ内部からのリークか,それともどのような情報経路かは分かりませんが,「相変わらず」なのか,そうなのだとすれば,不快のみならず暗澹たる気持ちに襲われます。交渉事を有利に進めたい,外部を利用してある方向へと動かしたい(外堀や内堀を埋めたい)のだとすれば,それは誰の意向なのか。誰であろうと,不愉快な話です。指揮官どうこう,観客動員がどうこう,誰を補強すべきだとか,誰を放出すべきだとか,などという話をする前に,まず最優先で解決すべき課題ではないのか,と思うのです。