Slow again.

畳み掛けたい,という意識か,それとも焦りからか。


 チームが表現し始めたはずの要素が抜け落ちてきているな,と感じるところがあります。


 ちょっとだけ,第28節の印象に付け加えておこう,と思います。ここでは結構書いている要素でもありますし,タイトルで端的に示してもいるのですが,ボールをゆっくりと動かしていく時間帯が山形戦ではあまりに少なかったな,と感じます。
 相手守備ブロックの焦りを誘うのではなく,自分たちから焦りを生じているかのように,攻撃リズムを早めていくような時間帯が多く積み重ねられていった。縦にチャレンジしていくパスを繰り出す,という要素までが失われているわけではなく,課題となったのは縦パスを繰り出したあと,であります。ありますが,その縦パスを仕掛けるまでの「落差」が好調時よりも小さいような印象を持ちます。スローに動かすタイミングから速さで相手を揺さぶっていくタイミングへとスムーズに移行していく。相手守備ブロックがパス・ワークに追従してくる(=守備ブロックがバランスを維持している)ようであれば,敢えてスローにボールを動かすエリアへと戻す,相手がボールを奪取すべくバランスを崩してくるタイミングを狙うべく積極的にリズムの落差をつくっていく,という選択もあるはずなのだけれど,窮屈な状態でチャレンジを仕掛け,結果として攻撃リズムが単調に流れるという局面が多くなってしまった。


 攻撃を組み立てる,その初期段階で刻むべきリズムが早くなってしまっている。相手のチーム・バランスが微妙に崩れている,その時間帯を狙うようにボールを動かす,そんな時間帯が目立たなくなっている。相手を崩す局面でトラバースなパス・ワークを仕掛けるのではなくて,相手を崩す局面でトラバースを仕掛けないで済むように,攻撃の初期段階でしっかりとポゼッションを維持して,相手を揺さぶる端緒としてのトラバースを仕掛けていく,という形を取り戻してほしい。


 浦和が狙うフットボールを徹底するためには,どうしてもリズム・コントロールが不可欠な要素になるように思うのです。縦,という意識が強まるのはいいことではあるのだけれど,縦にチャレンジしていくべきタイミングを外してまで,縦に急いでしまえば自分たちから自分たちのフットボールを崩してしまうことにもなる。引いた相手を引き出す,という狡猾さを含めて,リズムを支配していく,という意識も重要な要素だと感じます。