始動性とピークパワーと。

MDP巻末に掲載される,清尾さんのコラム。


 このコラムの軸に据えられていたのは,「押しがけ」でした。


 この言葉を意識しながら,今節を振り返ってみると。


 ボールが中盤で落ち着かない,という時間帯がちょっと多かった,という印象があります。チームとして,どのような攻撃を狙っているのか,その意図は確かに受け取りやすくなっているのだけれど,相手にとっても予測がしやすい形になっていた,とも言えるでしょうか。そのために,パスの強度や角度,ディテールにかかわってくる部分でリズムを掌握しきれなかった,と。悪くないけれど,という雰囲気をつくりかねない時間帯に,均衡を破るミドルレンジからのシュートがゴールネットを揺さぶる。


 確かに,エンジンが掛かるまでに相当な時間が掛かったな,という感じがします。今節だけで見るならば,先制点奪取,というエンジンもそうだし,もうちょっと時間軸を長めに考えるならば,本拠地での「勝ち点3」奪取,というエンジンについても。


 ただ,チューンしたエンジンは始動性が必ずしもよくはない,と理解しておこう,と思います。ピーク・パワーを狙うがために,始動性を犠牲にしている,と。
 ファースト・チームを“エンジン”として表現するならば,08シーズンまでのスペックと,09シーズンからのスペックは大きく違ってはいないとは言え,チューンの方向性が大きく違っている,と見ることもできるでしょう。始動性が確かに悪いかも知れないけれど,それは08シーズンまでとは違った形でピーク・パワーを狙うがため。やっと,本拠地で「勝ち点3奪取」というエンジンを始動させられたのだから,次はピーク・パワーを絞り出す,という段階へと踏み込んでいってもらいたい,と思います。