西澤選手のローンによせて。

高校からの加入であろうと,大学からであろうと。


 浦和を,プロフェッショナルへの玄関口として選んでくれているのだから,「生え抜き」であることに違いはないのですが,下部組織からの昇格,というのはまた,ちょっと違う感覚を持つのも確かです。浦和,という雰囲気を早くから感じることができている,そんな立場であるように思えるのです。であれば,そのつもりはなくとも,「思い入れている」ところがあるように思います。
 ただ。2006シーズンに昇格を果たし,前登録チームに「浦和レッズユース」と記載されるフットボーラーは,ファースト・チームのクレジットに見つけられないことになる。当然,フットボーラーとしてのキャリアを思えば,ゲームに出られる可能性を高めていくことは重要な要素ですし,そのために必要な選択となれば,送り出してやらないと。そう思っていながら,どこか割り切れない。


 フットボール・クラブを追い掛けていれば,決して避けられる話ではありません。浦和からのニュース・リリースをもとに,とりとめのない話を。


 今季,出場機会をつかめていない。


 リリースにも書かれていますが,昨季終盤から小さなケガに見舞われていたとのことですから,チーム内競争に参戦しようにも,不充分な状態での競争を余儀なくされていたでしょうし,そもそもケガからのリカバリーに時間を取られることで,チーム内競争での勝負権をつかめる状態ではなかったのかも知れません。


 「・・・なかりせば」,という仮定論を持ち出すこともできるだろうけれど,プロフェッショナル・フットボーラーに対して,この仮定論を持ち出すのは失礼な話かも知れない,と思います。ポジションをつかんだフットボーラーに対しても,そしてポジションを失ったフットボーラーに対しても。


 誰しもがピッチに立ちたい,ゲームに絡むことで自らの価値を示す,価値を引き上げていきたいと思っているはずです。そして,スターターとしてピッチに立つために,トレーニング・グラウンドでの準備を繰り返しているのでありましょう。であれば,どのような事情が背後にあるにせよ,ピッチに立てる可能性が失われているのであれば,ピッチに立てる可能性を上げていく,という決断をするのは当然のこと。西澤選手に限らず,フットボーラーならば,誰しもが考えることなのだろう,と思うのです。


 リリースの文章を読む限りでは,リターン・チケットなローン,というよりも,ワンウェイに近いローンなのかな,と思ったりもします。しますが,それならば,ワンウェイをリターンへと切り替えたくなるような存在感を,敷島公園で示してほしい,と思うし,そのための準備をサンデンで徹底してほしい,と心から思います。