欧州遠征のことなど。

確かに,運動量も重要な要素ですが。


 狙うフットボール・スタイルを,どれだけ「効率的に」繰り出すのか,という対応能力での課題がクリアできず,その悪影響が本来のフットボール・スタイルという基盤にまで波及してしまった,というのがフェアではないかな,と思います。


 距離感を重視したショートレンジ・パスを繰り出すのは,何のためか。


 単純に,パス・ワークによってポゼッションを高めるだけ,ではゴールを奪うことはできません。ごく大ざっぱに言ってしまえば,カウンター・アタックと同じように局面での「数的優位」をつくるため,であるべきかな,と。フル・カウンターでは,仕掛けはじめる位置が深いけれど,2010スペックを思えば,そんなに深い位置からの勝負を仕掛けるのは難しいでしょう。当然,ある程度高い位置で仕掛けはじめる。そのきっかけが,大きなトラバースであろうな,と思うわけです。となれば当然のように,“オープンサイド”への意識を徹底させること,が重要な意味を持ってくるでありましょう。
 さて。日刊スポーツさんのニュース記事であります。2010シーズンは,欧州遠征だそうであります。営業妨害にならない程度に記事の要約をしてみると,6月下旬から7月上旬にかけて,オーストリアでキャンプを実施する方向性である,とのことであります。
 この海外遠征,フットボール・スタイルについての「大きな刺激」にもなるし,いいことではないかな,と思います。
 


 この部分で思い出すのは,2004シーズンの“ヴォーダフォン・カップ”でしょうか。日本経済新聞の吉田誠一さんがMDPなどでも高く評価している,2004シーズン後期のフットボール・スタイル,あの基礎構造に大きな影響を与えたのが,ヴォーダフォン・カップではなかったかな,と思っています。
 もちろん,2004シーズン当時のフットボールとは違った形でチーム・ビルディングをしていますから,まったく同じ方向性で刺激が加わることはないでしょう。とは言え,オーストリアでのトレーニング・マッチから2010スペックへ取り込める要素はいろいろと得られるだろう,と期待しています。日刊さんが指摘していますが,オーストリアは欧州クラブもキャンプを張る場所だそうで,となれば,有力チームとのトレーニング・マッチも組みやすいでしょう。「交渉中」というような表現もありますし,できることならば,強豪クラブとの対戦だとよいな,と思ったりするわけですが,そのときに,ポゼッションを確保している中からどのようにして仕掛けのリズムを上げていくのか,要は,ポゼッションをしていながら同時に,実質的にはカウンターに近い攻撃をどのようにして仕掛けていくか,などという部分で,いろいろと盗める部分があるだろう,と思うわけです。


 欧州強豪クラブとのトレーニング・マッチが組めたとすれば,彼らとの距離感を再び実感できるチャンスでもあります。さすがに,真剣勝負のFCWCとは違うけれど,それでも彼らの視界(オン・ザ・ピッチでの視野)と自分たちの視界と,どこがある程度似ていて,どこに決定的な違いがあるのか,など感じる部分がそれこそ多いはずだと思います。徹底して,盗める部分は盗み倒していただきたいものだ,と思います。