橋本社長に思うこと。

瓢箪から駒、と言っては失礼なのかも知れませんが。


 予想外な適任者が,社長として着任したかな,といまにして思います。


 ごくごく大ざっぱな印象を言うならば,「らしい視点」を持ったひとである,という感触を得られた。それだけでも,いつもならば手に取ることのない週刊誌を読んだ意味があったな,と思います。


 きっかけは,まったくの偶然でありました。


 待合いスペースに置かれている週刊誌,その表紙からめくっていくと,フォト・セッション用に「おすましな」ポーズを決めている人物に目が止まった,というわけです。革靴でホールドしているのは,ナイキのフットボール。橋本社長にフォーカスした,特集記事が組まれていたのでした。この記事をまとめるとともに,インタビューを担当されていたのは,“Number”誌などにラグビー関連の記事を寄稿されている藤島さんでありまして,それだけに橋本さんのバック・グラウンドが興味深く読めるようになっていました。


 申し訳ない話ではあるのですが,最初はラグビー三菱自動車が直線では結び付きませんでした。個人的にラグビー,という競技に興味を持ちだした時期は,三菱自動車京都ラグビー部が全社を制した時期よりもあとのこと,です。であれば,橋本社長が三菱自動車京都ラグビー部に誘われた,という話を聞いても,どれほどの強さを持ったチームだったのか,ということに対して具体的なイメージが湧かなかったのです。調べてみれば,三菱自動車京都が全社を制した時期と,橋本社長が三菱に入った時期は見事に重なります。ラグビーフットボールフットボール。競技は確かに違うけれど,少なくとも強豪,と呼ばれたチームの空気を知る人物,でもあるのです。
 そして,個人的に最も強く印象に残っているのは,(記憶が頼りなので,必ずしも正確なものではありませんが)「ピンチのときこそ,間合いを詰める。」という言葉でした。


 いまの浦和は,緩やかに危機から脱しようとしている時期,と見ることもできるでしょう。2008シーズン最終戦をひとつの底と見るのであれば,2009シーズンは,これまでとは違ったアプローチで浮上を狙うも不安定さを見せてしまった,とも。であれば,ピンチは継続している,とも言えるでしょう。
 そのときに,「間合いを詰める」という意識を持ったトップが,浦和に着任した。クラブのことを我がこととして思ってくれるひとたちを,「ありがたい」と思ってくれるひとが,この厳しい時期に。経営母体からの転籍,ということもあり,最初の印象は必ずしも好意的なものではなかったのも確かです。


 もちろん,最終的な結論をいまから出すのは時期尚早ではありましょう。藤島さんが,この記事の冒頭で書いているように「吊し上げられる」可能性も,ゼロではありません。ありませんが,少なくとも「距離感」という視点で言うならば,いままでのトップよりも近さを感じるし,興味深い人物である,というのも確かであるように思うのです。