必然の“DETOUR”(宇賀神選手のこと)。

「今年はワールドカップ・イヤーですが?」


 そんなインタビュアーの質問に,力強く「狙います!」と。


 ミックスゾーンでのコメントでは,冷静なコメントを残していますが,彼が持っているプロフェッショナルとしての資質,その一端をはっきりと示していたのが,あのコメントではなかったかな,と。その後のあいさつの場面でも,「プロ」らしさを存分に表現してくれていました。


 あらためて,「ようこそ浦和へ。そして,久しぶり」。


 開幕節からスターターとしてSBのポジションを奪取している,宇賀神選手であります。
 “エル・ゴラッソ”紙にもインタビュー記事が掲載されていましたが,端的に言って「回り道」が決して回り道ではなくて,間違いなくプロフェッショナルとしての資質を高めてくれるルートだったのだ,と感じます。もちろん,厳しい迂回路だっただろう,と思います。フットボーラーとしてのキャリアを見ると,流通経済大学というクレジットだけでなく,クラブ・ドラゴンズというクレジットも目にすることができます。流経,という大学リーグでも大きなチームにあって,必ずしも本流だけを歩んできたわけではない。むしろ,必死になって本流にたどり着こうとして,しっかりとその流れをつかんできた,と言うべきキャリアか,と思います。そんな環境で,プロフェッショナルとしてやっていけるだけの技術的,身体的なベースであり,メンタル・タフネスを身につけてきた,という印象を受けたりするわけです。


 「プロフェッショナルとしてフットボールを,というならば浦和ではなくて,大宮を選ぶ」。


 個人的には,こういう気持ちの強さを持ったフットボーラーである,という部分に魅力を感じます。そして,試合後のインタビューでは,この気持ちの強さがふとした瞬間に顔を出した,ように感じます。開幕節,少なくともスコアという部分に宇賀神選手のプレーが直結したわけではありませんでした。けれど,マッチアップしていたのは誰だったか。そして日曜日のゲームでは,自らのプレーがゴールを呼び込む,その大きなきっかけとなった。何らかの「手掛かり」を感じ取っていても不思議はないだろう,と思うのです。


 ゲームを重ねていくごとに,その手掛かりをひとつずつ増やしていってほしい,と思います。そして,ユーズを戦い,そして大学に籍を置く選手たちに,「迂回路だって,ときに必然なんだ」ということを示してやってほしい,と思っています。