違う視界を期待して。

あまりに多すぎるのは問題だけれど,いないのはさらに問題。


 組織にあって,冷静に組織の動向を読める。組織が目指す方向性に具体的な懸念や,問題発生の可能性を感じたときに,的確に指摘することを厭わない。インサイドにいるのは確かなのだけれど,アウトサイドのような感覚を持っている。


 違う視界を持っているひと,であります。こういうひともいてこそ,組織であります。


 柱谷さん,と言っても,かつてサテライトを担当された哲二さんではなくて,最初期の浦和に在籍された幸一さんが,チーム強化責任者に,というオフィシャル・リリースをもとに,ちょっとだけ。


 幸一さんが,かつて率いておられたクラブを思えば。


 現実主義的な側面に,軸足を置いていたように感じます。フットボール・コーチとして,当然に理想を持っていると思うけれど,その理想を具体化できるだけのリソースを持っているのかどうか,という要素を冷静に考慮して,リアリズムという側面をより強く意識する,という方向性を狙ってきたのだろう,と。


 この姿勢は,あくまでも理想を追い求める現任指揮官とは違う要素でありましょう。むしろ,そこがいいな,と思うのです。


 狙う理想,その看板を外さないのは重要なことです。ではあるのだけれど,あまりに理想にこだわりすぎるのも問題だ,と。理想を表現できない時期に,どのような「微調整」をしていくか。今季は有効な微調整がかからなかったがために,戦術的な要素に対するチームの確信が大きく揺らぐ,というネガティブを生じてしまいました。


 このような状態に陥ったときに,カウンター・パートは重要な意味を持ってくれると思います。


 ともすれば,進むべきルートが見えづらくなっているとき。誰もが同じ方向ばかりを見ていては,ルートを見つけられないかも知れない。違った方向を見る存在があれば,ルートを切り開ける可能性も出てくる。


 理想を追うために,現実的な対応が迫られるときだったり。そんなときに,幸一さんの経験は生きてくるだろうし,そうあってほしいと思います。