柏木選手獲得に思うこと。

フットボール・スタイルからすれば,まだ構築途上です。


 2009シーズンは,ごく初期段階というのが妥当でしょう。


 ボールを積極的に動かしていくフットボール,という意味では共通項もあるでしょう。けれど,ディテールには違いが当然ながらあって。「組織」という要素にウェイトを置いているのか,それとも「個」か,となれば,あくまで相対的であるにしても,「個」にウェイトを掛けている部分もあるように感じます。戦術的な約束事が2008シーズンを転換点として,大きく変わったことで,「約束事」に対する意識が強まったとは言えるはずだけれど,約束事に重心を置いたフットボールか,となれば,ちょっとニュアンスが違っているようにも思うのです。


 中盤での機動性を高め,戦術的な幅を広げる。


 ボール・ポゼッション,という側面「だけ」に絞って考えるならば,ある程度戦術理解は深まっているのだろうけれど,ポゼッションから攻撃スピードを加速させるとか,相手ディフェンス背後を狙って飛び出していく,というような“リズム・チェンジ”がなかなか生み出せていませんでした。


 ボールを動かして,相手を崩すという意識が強すぎた,とも言えるでしょうか。


 もちろん,このスタイルを煮詰めていくことも大事です。ただ同時に,「相手が守りやすい」状態を壊すことも,また大事です。そのときに,必要な戦力として,柏木選手が浮上してきた,と。


 柏木選手には,大きな役割が期待されている,と思います。新たな浦和のフットボール,その煮詰めに重要な選手,と位置付けられているか,と。そんな環境に飛び込んできてくれたことに,心から感謝します。


 さて。柏木選手が入ることで中盤の構成は変わっていくでしょう。


 2009シーズンは,まだ“セントラル”というよりも“アンカー”という表現を使った方がいいようなゲームが多かったか,と思うのですが,2010シーズンは,”セントラル”という表現をすべき中盤へと変化させていくでしょうし,フォルカーさんが狙うフットボールを推理するならば,そうならないといけないのではないか,と思います。守備的な安定性も確かに重要だけれど,アンカー的に機能する時間帯よりも,攻撃面で機能する時間帯を多くする。視野を広く,攻撃を構築するポジション,と捉えると,チームのパッケージにも関わる変更が加わる可能性も,あるかも,と思っています。


 とは言え。まだ戦力的な話はあるでしょう。


 ディフェンス・ラインの整備も重要ですし,今季からはフリー・トランスファーとなっていますから,契約満了の選手であれば,可能性がゼロというわけではありません。水面下では,さまざまな話があるか(と言いますか,ないとおかしい),と思われますが,パッケージの推理はそのときでもまた,してみようと思います。