対千葉戦(09−07A)。

これからと,これまでと。


 いい形でフットボール・スタイルが移行しているな,と思いますし,これまでの基盤だった要素も,決して忘れ去られてはいないな,と。


 いささか遅くなってしまいました。遅筆堂の面目躍如,な千葉戦でございます。


 かなり時機を逸しておりますので,ごくカンタンに書いておきますと。まずは,戦術的な熟成過程が順調であること,でしょう。


 スポーツ・メディアさんでも扱われましたが,4ゲーム連続で“one-nil to the REDS”(イングランドびいきとしては,あえてUKテイストで)であります。ファイナル・スコアだけから言うならば,確かにリアリスティックな印象かも知れません。また,追加点をどう奪っていくか,という要素が浮かびもするでしょうか。
 ただ,チーム・ビルディングの流れを思えば,決して悪くないと感じます。つまり。

 チームとして,どのようなボールの奪い方を徹底するか

という要素は単純に守備面だけでなく,攻撃面にも大きな影響を与えるものと感じるのです。仕掛けにコンビネーションを重視する09スペックにあっては,守備戦術に関するイメージ構築は,実際には攻撃面に大きく関わってくるからです。


 相手からボール・コントロールを奪い返す位置が安定してくれば,仕掛けにも安定性が持ち込まれていきます。当然,最終ラインも「予測」の範囲を限定させることが可能なはずですから,余裕を持って応対できるようになる。
 仕掛けのイメージは「型枠」を意識したものではなくて,攻撃ユニットのイメージに委ねられている部分も大きいようです。となると,現段階ではビルドアップとフィニッシュをどうバランスさせるか,という段階かも知れません。
 対して,守備面は「型枠」が大事な要素です。トップから最終ラインまで,どのようなピクチャーを描きながら守備を仕掛けるか。ここにズレを生じてしまうと,「距離感」に悪影響を及ぼしてしまいます。


 コレクティブなフットボールを展開する相手には,特に「型枠」が重要な要素になります。そして距離感は,仕掛けの基盤でもあります。


 型枠であり基盤が,ファースト・チームに浸透しているからこそ,ハーフタイムでのギアチェンジが機能したのだろう,と思います。
 と考えると,09スペックのフットボールは順調に構築されていると言っていいものと思うわけです。そして今節においては,ゲーム・コントロールという部分で「積み重ね」がいまのフットボール・スタイルにおいても意味を持ってくれることを示したように感じます。


 積み上げてきたものが,すべて不要な要素というわけではなく。エッセンスとして残っていくことで,新たなスタイルに奥行きが出てくるといい。そんな感覚を持ったゲームでありました。