横と「縦」とのバランス。

「誰かが」ではなくて,「誰しもが」。


 流動性を高めようという意図は,“Change of the Pace”と関連しているように思われます。


 誰かが,仕掛けを強めるスイッチを持っている,というのではなくて,誰しもが仕掛けのスピードアップであったり,強度を強めるきっかけを作っていこう,という方向性を狙っているかな,と思うわけです。その大前提として,ポジションの流動性を高めようとしている,と。


 となれば,2009シーズン型のフットボール・スタイル,その最初期段階における意識は徹底されている,とは言えるでしょう。そこからのステップをどう刻んでいくか,ですね。


 今回は,2009シーズン序盤から感じる,ちょっとした雑感など。


 もちろん,2009シーズンが始まってから3試合しか経過していないわけですから,フットボール・スタイルが明確に構築されているなどという状態ではありません。この点,焦るべきでもないだろう,と思います。
 むしろ,昨季までの意識を(必要に応じて)どう抜いていくか,であったり,ちょっと前の意識をどう取り戻すか,が重要な要素になってくるように感じます。


 タイトルにも掲げましたが,「縦」方向での流動性です。


 現段階においても,ポジションの流動性は意識されていますが,意識されている範囲がまだチーム全体,というには狭いように思います。そして流動性が意識される方向が,横方向である時間帯が多いようにも。
 となると,中盤と前線とのギャップが,限りなくゼロになってしまいますし,表面的にはピッチを最大限に生かしているように感じられはするものの,実質的には後方からの攻撃参加を仕掛けようとすると,トラフィックを発生させるきっかけにもなってしまうように感じられます。この段階で,無理にSBやCBとのバランスを落とし込んでしまえば,流動性という要素が「無秩序」に近付きかねないようにも感じます。開幕節でも相手のカウンター・アタックにさらされましたが,そんな状態を解消できないことにもなってしまいます。


 横への意識と同時に,「縦」への意識を段階的にバランスさせていくつもりでしょう。そして,縦への流動性が,仕掛けを強めていくスイッチとしても機能するよう,意識付けするはずです。


 ポゼッション志向を明確にしているわけですから,当然仕掛けるからには”ユニット”が加速していくことが求められるはずです。「誰か」が「誰か」にパスを繰り出す,というのがスイッチになるのではなくて,局面ごとに違うユニットが,それぞれにスイッチを持ち,仕掛けのリズムを変えていくことが求められている,と見るべきかな,と思います。そのときにはパスだけでなく,積極的なフリーランであったりドリブル突破,どれもがスイッチとなりうるはずです。


 第3節終了後のコメントをオフィシャル経由で見ると,距離感を指摘するコメントが見えます。その距離感は,横のみならず縦を意識したものでもあります。そろそろ,第2段階の戦術的な整理に取りかかるタイミング,かも知れません。


 シーズンのどの段階で,チームの印象が変わってくるか。


 その時期は恐らく,チームが意識せずにフォルカーさんの狙うフットボールを表現できる時期と重なっていくのではないか,と思います。


 「お楽しみはこれから」ということではないでしょうか。