基盤の話。

さて,ちょっと柏戦で思うところなどを。


 どうも,方向性が明確ではないな,と思います。


 ボール奪取に対するイメージがずれてしまっているから,仕掛けのイメージも同時にずれていってしまっているように見えるのです。リトリートからポゼッションを基盤とする仕掛け,という要素を強く意識して戦術的なイメージを描いている選手がいる一方で,高い位置でボールを奪ってからのハーフコート・カウンターに近い戦術的イメージを持っている選手もいるように受け取れます。
 で,この2つのイメージで共通して必要なのがプレッシングなのですが,このプレッシングが機能不全に陥ってしまっているように見えます。


 意図する攻撃を仕掛けるためには,組織としてどう守備を展開するか,という要素が必要不可欠です。2004シーズンにせよ,2006シーズンにせよ明確なボール奪取へのイメージが確立していましたが,2008シーズンでどのようなボール奪取のイメージを描きたいのか,ピッチから感じられないように思えるのです。


 誰がピッチに立つか,ということではなく。


 「浦和として」どういうボール奪取を狙うのか,が見えない。
 チームとして狙う方向性が揺らいでしまえば,選手のプレーに確信が生まれることはないでしょう。確信を持ってプレーできていないと,プレーにつながりが生まれにくくなってしまうだろうし,ひいては攻撃にも大きな影響を与えてしまうはずです。


 「個のチカラ」を押し出したフットボール。ひとつのアプローチでしょう。


 ですが,あまりに「個」がむき出しになってしまうと,「個」のコンディションにチームが大きく左右されてしまうことになるし,共通の基盤がいつになっても得られないことになります。チームが機能するための基盤,2008シーズンを戦っていくための基盤がどれだけ明確に意識されているでしょうか。
 ウォーミングアップ時,ピッチにマーカーを設置しグリッドが切られています。小さなエリアを作って,連動した動きを確認しているはずですが,その動きをフルサイズのピッチでも表現しなければならないはず。同じく,ウォーミングアップの話ですが。オフト時代から続いているルーティンには,5人のグループが旋回しながらスペースを狙ったパスを繰り出し,レシーバはそのスペースへと走り込みながらボールを収め,さらにスペースを狙ってボールを動かす,というものがあります。パス&ゴーをシンプルに徹底するためのルーティンでありましょう。単なるウォーミングアップであっても,いまの浦和が戻らなければならない「原点」はあるはずです。


 組織としての最低限のバインドは掛かっていて当然でありましょう。そのバインドすら意識できない「個」のフットボールは,フットボールですらなくなる,と思うのです。