微妙な変化。

トゥルシエ階段」を駆け上がってくるスターター。


 ディスプレイ脇にある時計は,キックオフ35分前くらいの時刻を示しているでしょうか。


 ピッチでのウォーミングアップ・セッションであります。


 ボールを扱うまでのルーティンはほぼ同じ。ちょっとした変化を感じ取ることができたのは,ボールを扱っている時です。今回は,そんなことなど。


 フィールド・プレイヤーを2つのグループに分け,ボールを回していきます。大ざっぱに言えば,ひとつのグループはトップ,アウトサイドを含めた攻撃ユニットで構成され,もうひとつのグループはディフェンシブ・ハーフ,最終ラインで構成されています。
 ボール・ホルダーは明確にスペースを狙ったパスを繰り出し,パス・レシーバはそのスペースへと走り込みながらボールを収め,ワンタッチでポジションを変えながら再びパスを繰り出す。
 オフト時代には,パス・スピードやランニング・スピードが速く感じられたのですが,最近ではそれほどスピードを速めていたわけではありませんでした。スペースを狙っているはずなのに,足元近くに収まってしまったり。


 そんなセッションが,ちょっとだけオフト時代に戻ったように感じられました。


 また,大きな変化としては“ビブ”でしょうか。ウォーミングアップ・セッションでミニゲーム,あるいはミニゲームに近いメニューを組み込むことは,少なくともここ数季は見られなかったものです。
 ですが,ウェット・コンディションに変わったピッチ上には,マーカーによってグリッドが切られていました。ウォーミングアップ・メニューに少なからず変更が与えられている,という予告があったわけです。
 ビブの種類は3種類。10人のフィールド・プレイヤーを4−4−2と分け,4のグループが2のグループ(恐らくは,フリーマンでありましょう)を使いながらボールを展開していく。ボールが奪取されたり,グリッドを割る,あるいは反対側のエンドにまでボールが達すればボール・コントロールを違うグループに渡し,フリーマンの構成を変えながら再びボールを展開していく。


 ・・・ように見えました。


 ちょっとピッチからは遠い場所から見ていたので,明確にどのような構成をしていたかはつかみ切れていないのですが,それでも“いつもとは違う”ウォーミングアップの構成だな,と感じるには十分なものでした。
 表面的に見れば,07シーズンから08シーズンで施された戦力的な変更は少ないようにも感じられます。ただ実際には,コンビネーションの再構築が必要となっています。パス・スピードを微妙に高め,さらにグリッドを狭くした状態でのパス・ワークを取り入れたというのは,「個」の強さを安定して引き出すために組織性を高めていく,というコーチング・スタッフの意図を感じられる部分ではないか,と思います。