一兎。

2007シーズン,ファースト・チームにとっては「未踏の領域」だったはず。


 2006シーズンには,国内だけを意識していればよかった。チャンスが少なかったとは言え,ファースト・チームの基盤を広げるためのゲームをつくり出すこともできた。


 しかし今季は,気の抜けないゲームばかりが続いた。にもかかわらず,シーズン序盤は戦術的な部分で空転した時期も経験している。それゆえにチームとしての全力を傾注しなければ,グループリーグを突破することもできなかっただろうし,リーグ・テーブル上位を維持し続けることもできなかったのかも知れない。


 負荷が極限まで高まった状態で,狙う「一兎」を手にした。さらなる「一兎」を狙うために,必要なものを枯渇させてしまったのかも知れない。


 さらなる一兎を狙えるためのファースト・チームはどうあるべきか。戦術的な部分で,枯渇してしまう可能性があるのならば,新たな戦術的なイメージをどう持ち込むか。ファースト・チームを構成する基盤をできる限り広げていくために,どのようなことができるのか。そして,どれだけコンディショニングの波を抑え込みながら,厳しいシーズンを戦っていくか。


 過酷なシーズンだったからこそ,明確になった課題だろうと思う。掲げられなかったシャーレよりも,重みを持ったものではないか,とも思う。


 シーズン最終盤での失速,敗戦から学ぶべきことは,間違いなくファースト・チームを強くするために必要なこと。このクラブは,敗北から何ものかをつかみ取り,いまの位置にまで這い上がってきた。ならば,この失速も必ずや糧としなければならない。それこそが,滑り落ちていった「一兎」を再び手にするための条件だと思うから。