Test Week.

ちょっと謎かけめいたタイトルにしておりますが。


 A3の実質的な位置付けは,「チームの基盤を広げること」にあるように思っています。


 思うに,最も難しいチーム・ハンドリングを強いられているのが今季でしょう。


 昨季のパッケージは,2冠を達成している「実績あるもの」です。ですが,このパッケージがそのまま2007シーズンへと引き継がれているわけではありません。中盤の構成を含めて,微調整が必要になっているわけですが,指揮官交代を含めて調整に必要となる時間が決定的に不足していたのは確かなこと。また,2007シーズンを闘うためのパッケージを作り上げるにあたって,必要となるはずの戦力が負傷などによってなかなか揃いきらなかった,ということもある。


 加えて,「2冠」を達成したクラブに対するマークは相当厳しくなるでしょうし,当然スタイルに対する研究,処方箋を編み出してくることも考えられる。2006シーズンのパッケージからの進化がなければ,同じような結果を引き出すのが難しくなることもあるでしょう。


 指揮官にしてみれば,2006シーズンのパッケージを応用しながら,何とかシーズン序盤を乗り切る,という意識もあったかも知れません。シーズン序盤から鋭く加速していく,というよりは,シーズン終盤にかけて「高み」を争える位置を維持しておけばいい,という意識ではなかったか,と(最大限好意的に解釈すれば)思うわけです。


 となれば,この選手権はチームの基盤を大きく広げるためのきっかけとするつもりでもあろう,と。


 というわけで,ちょっとゲームそのものから離れた視点でA3を見てみよう,というわけです。


 もちろん,曲がりなりにも「選手権」(チャンピオンシップ)でありますから,タイトルの可能性を度外視するわけにもいかない。ですが,優先順位はリーグ戦連覇であったり天皇杯3連覇,そして,クラブ・ワールドカップに直結するACL制覇の方が高いはずです。そういう部分から見れば,4失点というのは短期の総当たり戦にあっては多いわけですが,トレーニング・マッチとはまったく違う高い負荷がかかる実戦,しかもクラブ・レベルではなかなか経験できない海外アウェイという環境での実戦を,なかなか出場機会に恵まれなかった選手や負傷によって実戦から遠ざかっていた選手たちが経験できた,という方が収穫としては大きいのではないか。


 実戦という負荷がかかった状態で,ひさびさの出場機会を得た選手や負傷から復活を果たした選手がどれだけのパフォーマンスを見せることができたか,という部分で,コーチング・スタッフがどのような評価をするか。そして,結果としてチームの基盤が広がっていけば,A3というタイトル以上にリーグ戦であったりヤマザキナビスコカップ,ACLのノックダウン・ステージにとって意味がある,と思うのです。