CWCのことなど(その1)。

やっぱりいまでも基本的な枠組みは,“インターコンチネンタル・カップ(あるいは,トヨタ・ヨーロッパ/サウス・アメリカップ)”なのだな,と感じさせるゲームであります。


 スポーツ・メディアを見ると,バルサのパフォーマンスは70%程度だとか。個人的には,徹底した準備期間が持てなかったこと,日本への移動からそれほど時間的な間隔が開いておらず,機内での時差調整だけでフルにパフォーマンスを発揮できる状況にはなかっただろうと思いますから,ともすれば,60%前後のパフォーマンスしか発揮できていないような感じもします。
 それでも,攻撃に関するリズム感があれだけ自在にコントロールでき,チームがまさしく“ブロック”として攻撃,守備両面に機能できるという事実を目の当たりにして,「機能美」という言葉は間違っていないな,とあらためて実感しましたね。局面によっては,相当高い位置からボール奪取までを意識したプレッシングを仕掛け,ハーフコート・カウンターを仕掛ける。また時間帯によっては相手の攻撃を跳ね返す必要性が出てくるけれど,ただディフェンスだけに忙殺されるのでは決してなく,ボール奪取からカウンター・アタックを仕掛けるまでのトランジットが非常に短い。チームがどう動くべきか,という意識が徹底されていることをうかがわせる部分でありました。


 とまあ,これだけクオリティの高いクラブを相手にしてしまうと,クラブ・アメリカとしてもなかなか局面打開,そのきっかけがつかみづらいのかな?と感じます。クラウディオ・ロペス選手が積極的に最終ラインの裏を突こうという動きを見せていましたが,ミッドフィールドでのプレッシャーが強いために,パスを繰り出すタイミングが微妙に遅れてしまっていたような感じです。そのディレイが,オフサイドとなる大きな要因になっていたような感じです。


 もうひとつのSFである,アルアハリインテルナシオナル戦では,南米王者であるインテルナシオナルアルアハリを退け,決勝進出を決めています。


 とまあ,冒頭書いたように「かつての枠組み」通りであるわけですが,冷静に考えてみれば,“フットボール・ネイション(=トップレベルのフットボールを展開している国)”と位置付けられる国は,ヨーロッパ,そして南米エリアに集中している感じです。IRB的な表現をすれば,ティア1ですね。そして,ティア1とティア2(=強豪へ割って入ろうとしている新興国)との差も決して小さくはない。CWCが欧州,南米を中心として回っていくことは,ある意味当然のこととも思えるのです。
 また,バルサが100%のパフォーマンスをピッチに叩き付けたときにはどういう「機能美」が待ち受けているのか,と思うと恐ろしいまでの(悪魔的なまでの,と言っても良いでしょうか。)美しさということになるのだろうな,とか思いますが,戦術的な熟成度を引き上げていくことによって,一定程度の勝負権をもらえるのかな,と思ったりもします。


 また,ベーシックなスキルが猛烈に高いレベルにある,というのも見逃せないような気がします。


 どんな状況,時間帯にあっても,自らが持っているスキルを安定して発揮することができる。ごく当然のようで,フィジカルが厳しくなってくる時間帯にも同じように安定したスキルを維持するのは相当に難しいはず。90分プラス安定したパフォーマンスを引き出せるだけの“フィットネス”も,スキルと同時に重要な要素となる。CWCから見えてくることは,恐らくイビツァさんが狙っているだろうことと相当程度重なっているように思えるのです。