解法。

たとえば,文章題が提示されているとして。


 セオリーばかりを意識する必要はないけれど。
 セオリーを離れて難しく解こうと思えば,際限なく難しくなっていくように思うのです。
 ホントは,もっとシンプルに解けるはずなのに,実際には逆方向へと進んでしまうことで,本来ならば想定しなくても良いような事態までを考えなければならなくなってしまう。それでも,何とか解答を導き出すことには成功している。


 ゲームの流れを思い返してみると,そんな感じがします。


 内容的にも,ビルディング・アップの段階までに限定して言えば,決して悪いものではなかったと感じます。ピッチを大きく使えてもいる。相手守備ブロックはボールの展開に振り回され,明確にクラックを生じてもいた。しかし,最終的なフィニッシュの局面で“アンフォースト・エラー”を起こしてしまう。相手ディフェンスが猛烈なプレッシャーをフィニッシャーに対して掛けていた,という感じではない。確かにシュート・コースを切りに入っているような感じはしたけれど,ボールそのものに対する強烈なアプローチが掛かっていたわけじゃあない。


 前半でゲームを決定付けるチャンスは,間違いなくあったと思っています。


 ですが,実際には1点リードで折り返す。後半立ち上がりで追加点を奪取するものの,次第に福岡サイドへとリズムが移っていく。同時に,ミッドフィールドでのバランスが悪化し,実質的なツーラインへと変わってしまうことで,最終ラインにかかる負担が上がってしまう。失点直前のチーム・バランスは前半のバランスとは間違いなく対極に位置していると思います。それでも,スタンディングの位置を堅持するために,強烈なプレッシャーが掛かってくる時期にあって,「勝ち切る」ことができたのは収穫に違いない。


 昨季は,カンタンに解かなければならない問題を難しくするのみならず,解答を導き出すことができず,最終的に2位というポジションに甘んじることとなった。その意味から言えば,勝ち点3を奪取できたことこそが最も大きな収穫であっても良い。良いのだけれど,自分たちから敢えて難しいゲーム運びの道を選び取る必要はない,と同時に思います。もっとカンタンな解法が用意されていたはずなのだから。チャンスを確実に結果へと結び付ける,ある種の強かさや戦術眼が重要な要素になってくるように思うのです。


 これから,コンディショニングや心理的なプレッシャーを含めて,上手に付き合っていかなければならないことが増えてくるはずです。常にシンプルな解き方ができるとは限らない。でも,悪いなりにも「解答」を引き出せるような状態にあること。ちょっとゼータクな要求かも知れないけれど,「さらなる高み」を自分たちのものとするためには,そういう部分も意識しておかないといけないな,と思うのです。