予定は未定(ニュー・ウェンブリーについて)!?

「予定は未定にして,決定にあらず」なんてことを言いますが。


 ここまで予定からかけ離れた工事スケジュールになってしまったのならば,いっそのこと2007〜08シーズンの開幕を告げるFAコミュニティ・シールドまで待ってみる,というのも一策かも知れませんね。実際問題として,竣工時期がハッキリしない現状にあっては,単なるシャレでは済まされない話かも知れませんが。


 ここではかなりしつこく書いているウェンブリー問題であります。遅れに遅れる新ウェンブリー こけら落としは年内?(ワールドサッカープラス)を読みますと,ホントにシャレでは済まなそうであります。


 APさん配信のこの記事には,

 WNSLは「現在マルチプレックス社は2006年9月までに完成するだろうと言っている。WNSLの見解としては、現在の進捗状況を詳細に見れば、こけら落としまでにはさらにまだ大規模なテストが必要で、ひょっとすると年内いっぱいかかるかもしれない」と弱気に語った。


なんてことがシレっと書かれていますからね。マルチプレックス社の見通しである,9月末の完工というのはあまりにも楽観的な見解ということになりそうです。特に問題となるのが,セーフティ・システムがインストールされていない,という部分であるような感じがします。イングランドのスタジアムは,かなり徹底したセキュリティ・システムを備えています。観客席全域をカバーするためのサーベイランス・カム,そしてスタジアム全体をチェックするためのモニターと操作用コンソールをつなぐワイアリングはなかなか面倒な仕事になりそうですから,さらなる時間がかかることが予想されます。ついでに言えば,アーチを利用した可動式屋根という革新的なアイディアを投入しているだけに,動作の安定性をなんとしても確保する必要があります。そのために,徹底したテストをする中で,トラブルを出し尽くしておく必要があるように思います。そのための時間だって必要なわけでして。


 どこかの雑誌(確か,自動車雑誌だったはずです。)で,「イギリス人は新規開発は大の苦手」というようなニュアンスのコメントを見た記憶があります。いつになっても新規開発のクルマを投入してこなかった(時代の流れに付いて行けなくなった)という部分を見ても,なるほど・・・,と納得したくなるのですが,同時にアバンギャルドなことに手を出したがるようにも感じます。


 BAロンドン・アイにせよ,ミレニアム・ブリッジにせよ,新規開発が不得意なのに無理をして革新的なアイディア(工法であったり設計であったり)を落とし込もうとして,工期を遅らせたり,改修のための一時閉鎖などということになってしまった。その流れで見ると,ウェンブリーも例外じゃあなかったか・・・,と思いますね。