オン・ザ・カム。

正確に書けば,“オン・ザ・カム・アクション”。


 当然のように,エンジンによってオン・ザ・カム・アクションを感じ取れる回転数は間違いなく異なる。しかし,どんなエンジンであってもある一定の回転数に達すると,エンジンから感じ取れるすべてのフィールが明確に変わっていく。スロットルに対する反応速度が上がったかのように感じられ,エンジン回転の上昇スピードも高まっていくかのようなフィールを伝えてくる。


 そして,秘めたポテンシャルがどれだけあるか分からないエンジンが,いよいよ“オン・ザ・カム・アクション”を見せはじめたような感じがする。


 ・・・めずらしくマッチデイ当日に書いていると思えば,やはりゲーム自体のことを書くでもなく(処理能力が低いために,整理が付いておりません。),屋号関係の例え話からはじめております。


 さて,誰のことをイメージしてこの例え話をはじめたか,恐らくお分かりのことでしょう。今節,強烈な印象を見るものに残したであろう,“18”を背負ったフットボーラーのことです。


 それまでも,ポテンシャルの片鱗を感じさせるプレーは見られたように思うのですが,どこかでリミッターがかかっているかのような印象が拭えずにいたように感じます。遊離軟骨,という物理的なリミッターもありましたし,それ以上に実際のプレーとシンジ選手自身が持っているはずのイメージとが微妙にズレを生じているような部分もあった。焦燥感もどこかで大きく作用していたのだろうけれど,心理的な部分でのリミッターもどこかにあったのかも知れません。


 レブリミットがどこにあるのか,誰にも想像できないほどのポテンシャルを持ちながら,十分にそのポテンシャルを解き放てずにきたものが,いよいよポテンシャルを見せ付けるきっかけを得た。チームにとっての3点目,シンジ自身にとっての2点目のシュート・アクションは,そんな予感を持つに十分なものだったように思います。


 シンジがトップ・フォームに近付きつつある,ということはチームに対してこれ以上ないポジティブな影響を与えるものと思います。特に攻撃的なタレントのことを考えると,もちろん時間帯を限定すれば持てるポテンシャルを感じさせるプレーを見せ付けてはいるけれど,「安定感」を伴うものでもないように思います。時にドン付きを起こすヒューエル・インジェクションのようと言うか。そんな攻撃的なタレントがスムーズにパワーを引き出せるきっかけを,シンジのパフォーマンスが与えてくれたのではないか。そんな感じがしています。