熾烈な場外戦。

ちょうど2004〜05シーズンの終わりにも同じ問題が発生したのでした。


 欧州チャンピオンズ・リーグ(欧州カップ戦)への出場権が獲得できる枠は,イングランドですと4。フツーにいけば,バークレイ・プレミアシップのチャンピオン・クラブ,ランナーアップ,そして3位と4位のポジションを確保したクラブが欧州カップ戦へと駒を進められるわけであります。


 その例外になりかけたのが,昨季でした。


 イスタンブールで奇跡を演じたリヴァプールFCは,プレミアシップでは5位のポジション。“リーグ戦4位”という枠内に収まらなかったわけです。このとき,4位のポジションにいたのはアンフィールド・ロードからほど近くのグディソン・パークに本拠を置くエヴァートンであります。最終的には「特例」としてリヴァプールにも出場権が付与されたわけですが,UEFA,FAが明確な方針を打ち出せなかったために,エヴァートンの立場も非常に不安定なままの状態が続いたし,一方ではレッズが欧州カップ戦を奪取したにもかかわらずタイトル防衛の可能性が奪われる,という可能性もあったわけです。最終的にはリヴァプールを特例的にCLに出場させるという判断になったわけですが,このことを教訓として「例外的な事態が発生した場合にはUEFA加盟国に与えられた出場枠自体は変えることなく,CL優勝クラブとリーグ戦下位クラブとが入れ替わる」というルールが策定されたわけです。


 そこで今季であります。


 スタンディングを思い出してみると,4位に付けているのはトットナム・ホットスパーであります。はっきり言ってしまえばひさびさの快挙だし,欧州にスパーズのことを強く印象付けられるいいチャンスでもあるわけです。加えてシビアなことを言ってしまえば,クラブにとって欧州カップ戦は大きな「ボーナス」を手にするチャンスでもあります。


 しかし,「最悪の場合」このチャンスを手放さざるを得なくなってしまうわけです。ヴィクトリア・ライン沿線に本拠を置くクラブのおかげで。となれば,こちらの記事(スポニチ)のような反応になるのも無理はないでしょう。


 まさか,バルサをサポートするためにスタッド・ドゥ・フランスにまで遠征をかけるような御仁はいないであろう,とは思いますが,間違いなくホワイト・ハートレーン近くのスパーズ・サポータが集うパブではバルサに肩入れする姿が見られるはずです。


 傍目から見ればちょっと滑稽に映っているかも知れないけれど,実際には死活問題だし,何よりリーグ戦で自分たちよりも下のポジションにあるクラブに「たまたま」ビッグイヤーを奪取したくらいで出場権を掠われるなど許しがたい。ある意味,ハイブリー(来季からアシュバートン・グローブですけど)やホワイト・ハートレーンでの「本来的なノース・ロンドンダービー」よりも熾烈な場外戦が展開されそうだな,と感じます。