東芝府中ブレイブルーパス、戴冠。

ほぼ数字上のことではありましたが。


 今節,ヤマハ発動機ジュビロを相手に勝利を収めることができれば,優勝の可能性を残していた三洋電機ワイルドナイツが敗れたことにより,東芝府中ブレイブルーパスが最終節を残して2005〜06シーズンのトップリーグ優勝を決めました。


 2004〜05シーズンに続き2度目の優勝,おめでとうございます。ということで,楕円球な話であります。


 (最終節は残っていますけど)ちょっとリーグを振り返ってみますと。


 リーグ戦序盤,明らかに主役の座にあったのはワイルドナイツだと思っています。「リーグ戦」ではあるけれど,1回戦総当たり制という「短期決戦」的な要素も合わせ持っているリーグ戦だけに,スタートダッシュに成功したままに加速を続けられるか,という部分がひとつの焦点だったように思えます。実際,地元・太田市で開催されたブレイブルーパスとの直接対決をものにするなど,リーグ制覇を現実的な射程に収められるのではないか,という印象もありました。


 しかしながら,ブレイブルーパスの安定感は他を圧倒するものだった,と同時に思います。


 府中ダービーを見ていても痛烈に感じたことですが(のちほど,書いてみたいと思います。)FWの展開力が非常に高いレベルにあります。フラットなディフェンス・ラインが相手の攻撃をしっかりと受け止め,22mラインから深い位置に攻め込まれる,という局面がなかなか見られませんでした。
 そして,相手の攻撃をしっかりと受け止めたあとに繰り出される攻撃では,ラインがフィールド枠を一杯に使うかのように動いていく。単純にボールを展開するのではなく,相手ディフェンスを揺さぶりながらギャップを作ろう,という明確な意思を持ったライン展開だと感じました。


 ライン攻撃によって相手ディフェンスは揺さぶられ,次第に数的優位の状況が生まれてくる。ディフェンス・ラインのバランスを崩すことから生まれたギャップを的確に突き,トライを挙げる。


 確かに,強さを安定して発揮しているな,という印象がありました。


 府中ダービーの段階ではまだ優勝の行方は不明確だったわけですが,ワイルドナイツのリザルトに関わらず,優勝に値するチームだなと感じたことは確かです。
 そして,負けてはならないゲームを(対ワイルドナイツ戦をのぞいては)落としていない,という部分も大きいでしょう。大差を付けてのゲームばかりではないですが,「勝ちきらねばならないゲーム」をしっかりと勝ってきています。ワイルドナイツとの間に差があるのだとすれば,そんな心理的な部分に何か「見えない僅差」のようなものがあるのかな,と感じます。


 リーグ戦は来年1月7日に最終節を迎え,その後“マイクロソフトカップ”が行われますが,こちらはノックダウン・スタイルのトーナメントです。王座を逃したワイルドナイツだけでなく,NECグリーン・ロケッツやトヨタ自動車ヴェルブリッツなども虎視眈々とカップを掲げるべく準備を重ねていると思います。日本選手権も含め,ちょっと楽しみになってきました。