対新潟戦(05−34A)。

持てるパフォーマンスを解き放ち,能力を存分に表現することのできたゲームだったのではないか。


 各選手のゲームに臨むにあたってのモチベーションや戦術イメージがしっかりとかみ合い,「チーム」としてのパフォーマンスへと直結していく。最終節にして,今季浦和が追い求めてきたスタイルが完全な像を結んだような,そんな印象を受けた。


 ルーズボールに対する素早いアプローチやボール・ホルダーに対する厳しいファースト・ディフェンスが浦和の組織的な守備,攻撃を支える最大の要素であることを明確に示したゲームだったように思う。


 中盤が攻守にわたってベースとなるリズムを作り出し,守備ブロックは中盤の作り出したリズムによって相手ボール・ホルダーを余裕を持って待ち構えることが可能になり,安定した守備応対が可能となる。また,中盤と最終ラインとのコンビネーションに安定感があるから,最後方からの攻撃参加が機能していく。縦方向でのポジション・チェンジが機能することで,攻撃面にしてもポジティブな影響が出てくる。中盤,時には最終ラインからのサポートが活発になれば前線,トレクワトリスタにとっては相手守備ブロックのマークを外しやすくなり,ボックス近くに多くの人数がかけられることも加えてフィニッシュに厚みを持たせることができる。


 浦和が「チーム」として表現しなければならない,そして浦和にとって最大のストロング・ポイントとなるべき要素を,今節は存分に表現し得たものと感じる。


 振り返ってみれば,浦和が持っているはずの“スタイル”を調整し続けながら上位をうかがえるポジションへと浮上し,その位置に何としても踏み止まらねばならないシーズンだったか,と感じます。


 昨季のパッケージがシーズン前にして崩れ,そのミッシング・ピースをどう埋めるのか,という課題を抱えたままにシーズンを迎える。確かに外的要因による逆風もあったけれど,チームとしてのバランスが微妙に崩れている状態だったから,その逆風の影響を直接受ける形でシーズン序盤は予想外の失速を経験する。その状況を思えば,最終節までマイスター・シャーレを掲げる可能性を残した,ということは十分以上に評価していい。そういう面から見れば,充分に奪い取った2位というポジションだ,と考えてもいいように思うのです。
 その一方で,シーズン後半首位のポジションを奪える可能性があったにもかかわらず,そんな重要なゲームを落とした,ということもまた忘れてはならない結果だろう,と思います。リーグ戦は,34ゲームすべてが基本的に同じ重さを持っている。間違いないことです。しかし,リーグ・テーブルとの相関関係の中で,「勝ち点3」という物理的な結果以上の重みを持つゲームが複数訪れることもまた確かなことだろう,と思うのです。そのときに,今節のようなパフォーマンスを発揮できず,どこかにリミッターがかかったかのような戦いぶりを見せてしまった,ということは目前に迫っている天皇杯,そして来季に向けて間違いなく解決していかなければならない課題だろうと感じます。


 2004,2005シーズンともに“ランナーアップ”というポジションとなった。


 今季に関しては,「攻め獲ったポジション」という印象も強いけれど,目指すべき高みはさらに上にある。そんなことをどこかに意識しつつ,それでも「勝ってシーズンを終わる」という,リーグ戦をしめくくる上で最も大事なことをこれ以上ない形で成し遂げてくれたチームに最大限の敬意を表したい。そう思っています。